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女神の見えざる手のohassyのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.0
やっと観ることができた、よかった。

ロビイストというのはアメリカ映画を観ていると時々登場する。
最近だとハウスオブカードというドラマによく登場していて、政治の世界でクライアント(企業だったり政治家だったり)のために交渉をしたり、世論を作ったりする人、らしい。
不思議な職業だなと思う。
日本では裏稼業の人たちが担ってるのかな。
広告代理業やPR業はかなり近い。

その女性ロビイストが主人公で、銃規制法案にまつわる駆け引きが本作のストーリーだけれど、堅苦しさや難しさは全くと言っていいほど無い。
難しい言葉もいっぱい出てくるけれど、最悪わからないままでも大丈夫。
ちゃんとエンターテイメント映画、スリルとサスペンスがばっちり楽しめます。

シナリオがすごく評価されていて、もちろん素晴らしいけれど、やっぱり映画はキャラクター。
主人公のリズは目的を達成するためだけに行動し、眠らずに仕事をこなし、夜は男娼を買う嫌われやすそうな女性ですが、これがもし男性だったら映画的にはクールとか憧れだと思われるキャラになるんだろうな。
いや彼女はすごくカッコよかった。

仕事をしていると、いろんな思惑が複雑に絡み合っていつのまにか本来の目的とは違うもののために行動せざるを得ないことがよくある。
自分の感情も含め。

リズにはそれがない。
ただ目的に向かってまっすぐ進んでいるだけ。
頭がキレるという評価を得ているけれど、実は他の誰よりも目的を達成することを考えているだけ。
でもそれが他の人たちから見ると、乱暴だったり非情だったり、あるいは騙されたと感じたり、裏切られたと感じたりする。
実際騙されたり裏切られたりもするのだけど、目的を達成するという意味では結果的にそれは正しくて、でもたとえ正しくてもやり方が悪いと責められたりする。

これは結果ではなく過程の話だ。
騙したり裏切ったりしたから達成できたことなのに、それを否定するということは目的を果たすなと言うことだ。

ここまで極端ではなくても、仕事でこういうことは少なからずある。
立場や感情に邪魔をされてしまうのだ。
目的と守るべきものを見失わず、モノゴトを冷静に俯瞰し、広く知り深く思考し、なるべく遠くを見通す。
かくありたい。

とかなんとか言ってますが、最初から最後までキレッキレの演技と展開にのめり込まずを得ない、とても見応えのある映画です。
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