まめこ

女神の見えざる手のまめこのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
3.3
これは爽快か?終始痛々しいんだけど。
(好き)

リズが勝ちに固執する理由は最後まで語られない。挑戦しがいのある題材は他に幾らでもありそうなものを、キャリアを捨ててまで銃規制問題に挑む理由も。
作中彼女が語る言葉は全て計算された上でのもので、唯一フォードに言った「嘘をつかなきゃ生きてこれなかった」だけが思わず漏らした本音なんだろう。でもこのセリフだけでリズの内面に想いを馳せることができるので充分。

本作の衣装デザイナーのヤーリが語るように、女のファッションは武装です。黒いネイルと赤いルージュ、そして何よりルブタンやロッシの突き刺さるようなピンヒールで、リズは重力に抗うように背筋を伸ばして歩くのです。生き急ぐように。

ラストカットのリズは美しかった。向精神薬も武装も捨てて、今後彼女はどのように生きていくんだろう。普通にまた勝利を掴むゲームに戻る気がするけど(勝つ事、はかの国の国是なのでね)もう少し健全にゲームに取り組めるようになってるといい。



リズとジェーン、リズとエズメの関係性がすっごくエモい。
リズのセクシュアリティは一切言及されてないけど(指向と行為は必ずしも連動しないよね)、多分そういう事なのかなー。作中さらっと出てきたソクラテスも意味深。

あ、最後に。
マークストロングがほんと美しく撮ってもらってた。スーツの肩幅から醸し出される佇まい、みたいな、上手く言えないけど、柔らかいのに確かにここに存在する厚みを感じさせる空気を纏っていて良かった。
チャス姐も勿論綺麗だったけど、痛々しさと脆さが先行する。
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