enchan

女神の見えざる手のenchanのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
3.5
邦題負けしてる隠れた良作。なんやねん見えざる手って。アダムスミスか。そのままMiss Sloaneで良かったやん。
日本では馴染みのない、アメリカのロビイストの話です。政治的な話多めなのでそういうの好きな人は好きかも。女性が活躍するものって、カッコいいですよね。銃規制派の意見が通るようにロビイングを続ける主人公には銃乱射の被害の過去とかは無く、じゃあなぜそんなに体を酷使してまで頑張るかというのは最後まで明かされず。サイコパスなんじゃって声もありますね(安易なサイコパス認定もどうかと思うが)。珍しいなって思ったのが、主人公が男のデリヘルを呼んでるってこと。でも性欲をコントロールするために男娼を呼んでるのって、とても合理的な事だと思うんです。仕事は寝る間も惜しんで完璧にこなしあげ性欲はキッチリ処理してる。自立してる人の一つの手本ですらあるのでは。女性だからってタブーに思われてる事を遠慮しないこのシーン、監督のこだわりポイントなのでは。ラストはまさに「激震」でした。脚本が素晴らしいです。
題名であり主人公の名前のsloaneという単語、調べてみたら「Sloane Ranger」で「上流階級の保守的な若者」という意味があるんですね。すごい納得した。この主人公の賛同する意見はリベラルであるものの、手段を選ばないという姿勢が保守的なものだから。いくら人道的な考え方を表明したとしても、この資本主義社会の中では、結局は自分が1番可愛いので民衆は利益主導になびいてしまう。純粋な左の思想などありえない。リベラルな考え方を通すには反リベラル的な手段を選ばないと勝てない、クリーンな政治は絶対に敗北するというのがとても皮肉でした。