はる

女神の見えざる手のはるのネタバレレビュー・内容・結末

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

現実のことを思えばこの物語にカタルシスは無い。ただどうしてアメリカで悲劇がくり返されながらも規制法案が通らないのか、何が問題でそれを覆すためにどのような犠牲が払われるのか、というシミュレーションにもなっている今作はジェシカ・チャステインのダークヒロイン像がまず素晴らしい。リズの造形と戦略はそのまま映画的なサスペンスに繋がっているということで、やや作為的に過ぎるきらいもあるがこれくらいで良いのかもしれないなと感じた。結末としてはファンタジーだから。

日本公開があのラスベガスの事件直後ということでタイムリーとも言えるが実際のところいつ公開してもタイムリーであるだろう。それほどに銃による大きな規模の事件が日常化しているかの国では、乱射事件を受けて銃規制が取り沙汰されると重機販売が増加するという。おそらく今では「バンプストック」の購買数が伸びているのではないか。

今作はキャスティングがまず面白くてサム・ウォーターストンの配役はニヤリとするところではあるし、アリソン・ピルやマイケル・スタールバーグ などドラマのキャリアにおいて相応しい役どころだ。 マーク・ストロングは『ゼロ・ダーク・サーティ』のことがある。
しかし今作ではググ・バサ=ローが特筆される。彼女が演じるエズメがリズを突き放すシーン、これがカタルシスになっていてそれが良い。

そしてラストシーン。リズが施設から出てきた際に彼女の視界には誰かがいたのかどうか。パンフレットでは評論家が「いなかった」と断じているが個人的には「いたんじゃないか」と感じた。彼女は誰かがいることを期待するような人物ではないが、あのように振る舞ったのは意外な人物がいたからだろうと思うのだ。

※2017年11月7日鑑賞後のレビュー
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