LalaーMukuーMerry

女神の見えざる手のLalaーMukuーMerryのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
4.6
ロビー活動は予見すること
敵の行動を予測して対抗策を考えること
勝者は敵の一歩先を読んで計画し
自分の手を見せるのは、敵が切り札を使った後
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冒頭のこの言葉が、最後にドカーンと具体的になる大どんでん返し!めっちゃくちゃ面白くて、ちょっと鳥肌ものでした。すご腕のロビイスト、Miss Sloaneの銃規制法案を成立させるための、反対派勢力との戦いを描いた物語。
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銃規制反対派の中心勢力は全米ライフル協会で、巨額の政治献金を使ったロビー活動で銃規制法案はいつも成立できないか、骨抜きにされてきた、ということはよく知られている。あれだけ銃乱射事件が起きて犠牲者の数が膨大なのに、どんなことも問題が表面化すると素早く反応して対処してきたアメリカなのに、こと銃に関しては何も変えることができない不思議。今起きている全米の高校生を中心としたムーブメントが上手くいくように…
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この作品は、銃を増やすか、減らすかの政治的議論よりも、その裏でうごめくロビー活動の様子を見せるところに主眼があって、全く知らない世界なだけにとても興味深かった。ロビー会社というものがあることさえ知らなかった。
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Miss Sloane(=ジェシカ・チャステイン)は人間的な感情には全く流されず、勝つため・目的達成のためなら、たとえ仲間が傷つくことでも、時には法を犯すことも厭わないという、ちょっとお付き合いするのは勘弁してほしいタイプの女性。部下を顎で使うバリバリのキャリアウーマンの彼女が大手のロビー会社(当然、銃規制反対派の有力者が最大の顧客)から、銃規制推進派の弱小ロビー会社に部下を連れて移籍するところから話は動き始める。彼女の言葉、作戦と行動力、目が回るほどテンポよく進んで、しっかり伏線が回収される見事なストーリーに釘付けでした。
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アメリカにはロビイストは3万人もいて、法律によって登録が義務付けられているらしい(つまり決して怪しげな人ではなく立派な職業)。日本にも、こんなロビー会社やロビイストがいるのだろうか? 国会の議論よりもこの人たちの活動をマスコミは取材した方が面白そうだけど…、完璧な取材拒否、秘密の世界なんだろうな。
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めちゃくちゃセリフが早いから、字幕スーパーだと目が回る。日本語吹き替えだとこんなにすっと頭に入るのか! 絶対吹き替えがオススメです
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