ぬーたん

女神の見えざる手のぬーたんのレビュー・感想・評価

女神の見えざる手(2016年製作の映画)
3.5
『Miss Sloane』という原題にこの邦題を付けたとは!
主人公の名前をタイトルに付けるのが多いけど、それではインパクト無くて興味が湧かないし、色々と考えるんでしょうな。
見えざる手、という表現がいささか大袈裟で恥ずかしい感じ。
名前でなく、苗字の方がタイトルに付いているのが納得。
政治のロビイストとして活躍する優秀な女性だから。
ロビイストって日本人には馴染みがないし、どんな仕事か良く分からんけど、作戦とアイディア、人脈が必要で、そう簡単にトップには行けなさそう。
海外ドラマの『スーツ』を思い出した。
駆け引きとか内部の争いとか、他社からの引き抜きとか似ている。
あちらは弁護士だけど。
男でも大変なのにその世界で名を成しているということで、このエリザベスは私生活の多くを犠牲にしている。
睡眠・食事・恋愛、という人間の大事な欲をギリギリまでなくし、そのために薬、エスコートサービスなどに頼る。
そこまでするのは仕事への情熱と言うよりは意地やプライドなのか?

エリザベス・スローンをジェシカ・チャステイン。
出る作品で次々賞を獲るしノミネートされるし、実力はお墨付き。
40才を超えているとは思えぬ若さと身のこなし。
今作の役はきれる女でずばっと言いたいことを言う女。
勝つという目的のためには、時として仲間や身近な人間も利用し、その心を傷つけることも。
その強き女の主人公を好演。
ジェシカの演技が今作の魅力でもある。
そしてシュミットをマーク・ストロング。
最近出ずっぱりですな。マリーンの後はこちら。嬉しいわ。
カッコいいし賢そうだし、ピッタリの役ではあるけど、マークには物足りない感じ。
登場は良かったけど、後は押されっぱなしでちょっと影が薄いキャラ。
頭も薄い。いや、完全なハゲ。愛すべきハゲ。
大事な役の2人の女性。
ググ・バサ・ローとアリソン・ピル。
良かった、特にググは重い過去を背負った難しい役だった。
コナーズにマイケル・スタールバーク。
彼も最近は良く出ている。
個性的な顔と善悪どちらも演じられる名脇役。
『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』のロススタイン役がやっぱり一番好きだけど。
上院議員をジョン・リズゴー。
デュポンにサム・ウォーターストン。
どちらもベテラン。

ネタバレになるから書けないけど、今作の魅力は堪えて堪えて最後にぶっ飛ぶというもの。
ロビイストを描きつつ、そこはスリラーで、ラストに向かっていくという点で、飽きずに見せる。
ただ、そこが無かったらどうだったのかという疑問も残る。
そう考えると作品全体としての魅力はあまりないかも。

ゴキブリが気持ち悪い。
エスコートサービスの男が良くない。
誰だか分からんけど。体は良いのだが顔がいまひとつ。
普通に知り合ってもあの程度なら居そう。
スローン女史がそこまでする理由が良く分からん。
過去や知り合いに銃のトラブルがあったとか?
そんなこんなで
面白いしラストで盛り上がるしヒロインの熱演も良かったしマークも素敵だったが。
世間の評価ほどではないかな、と。
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