Ricola

スウィート17モンスターのRicolaのレビュー・感想・評価

スウィート17モンスター(2016年製作の映画)
3.8
こじらせ女子映画といえば、他に『勝手にふるえてろ』や『ゴーストワールド』などが思い浮かぶが、この作品の主人公がぶっちぎりの暴走っぷりだった…。

主人公ネイディーンに降りかかった「災難」にはたしかに同情できるが、それにしても彼女の妄想と暴走ぶりは手に負えない。


自分のことで精一杯で、本当に周りが見えていない。周りの反応を予測できなかったり、表情を見ても理解しようとしない。

「誰もわたしをわかってくれない!」「世界中でこんなに悩み苦しんでいるのはわたしくらい」
とでも言うような、悲劇のヒロインぶっているのである。
彼女の本当の味方はたくさんいるのに。

だけどなんだか憎めないのは、自分も少なからず彼女みたいだった時期があるから。

ネイディーンの特殊な環境と不遇を考慮しても、彼女には恵まれている部分もある。
そこに途中まで気づけないのは、かなりもったいないと思うほどである。

ネイディーンがひねくれていて、早口でまくし立てるのとか、親友クリスタが彼氏ができて舞い上がって少し上から目線になってしまうのとか、ダリアンがいつもイケててそれがネイディーンにとって鼻につくのとか…。
特にこの3人間のやり取りや、ネイディーン以外も自分たちで精一杯なところのそれぞれの「うざさ」が際立っている。
腹が立つけどなんだか愛おしい。

教師のブルーナの優しさにだんだんと気づいて、ちゃんとネイディーンが「世界」に向き合っていく。
その成長までの過程がかなりイタイけれど、それは乗り越えなければならない壁である。
彼女が文字通り体当たりをして、模索して、「闇期」を通過していく様子に、少しばかり過去の自分を重ねてしまい、泣けてきた。


ラストは、少々強引に丸め込めたようにも感じたが、大人になるのっていつの間になっているものだから、これくらいスッと馴染むくらい、突然の襲来でいいのかもしれない。
Ricola

Ricola