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ジェーン・ドウの解剖のNARUのレビュー・感想・評価

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
4.6
身元不明の死体、通称「ジェーン・ドウ」を検死解剖をする親子の話。

めちゃくちゃ面白かった…。

舞台の真ん中に用意された「死体」という異物に翻弄される「死体もの」と言えば、『スタンド・バイ・ミー』『ハリーの災難』『ロープ』など「死体を探す・隠す」作品が有名だが、本作は「美しい死体の謎を追求する」ホラーサスペンス。

まず舞台・人物設定が最高。
嵐の夜、田舎で死体安置所と火葬場を営み検死官まで務める親子のもとに、緊急依頼として身元不明の美しい死体が届くのだ。
この設定なら「もし何か起こっても、都合よく誰かが助けに来る(エンタメとして残念な)展開はないだろう」と安心して観れる。

また、検視官とその助手(息子)を主人公とした点もホラー・サスペンスの質を上げている。
視聴者は息子視点で専門知識を聞けるし、「ジェーン・ドウ」は専門家さえも理解不能な「ヤバい謎」だとわかる。

しかも、謎を解くはずの解剖の進行に反比例するように謎が増長する皮肉。
謎のアイデアや演出は思わず「マジか…」「嘘…」と声を漏らしてしまうほど強烈で、その先にあるクライマックスはまばたきを惜しむほど凄絶な展開だった。

「美しい死体」は好奇心と畏怖の念が同時に刺激される不思議なモチーフだと思う。
(死体モチーフの作品が他にあれば教えてください…!)

いろんな意味で人を選ぶ作品だが、ホラー・サスペンス映画の中でトップ10位に入るほど好きな作品となった。
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