ヒジキ

ジェーン・ドウの解剖のヒジキのレビュー・感想・評価

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
4.8
これでもかと言うほど怪談。

まさに怪談話。

全くと言っていいほどセオリーを崩さないので、展開が読めるのも確かだが、それゆえ「自分は怪異噺を聞いていいるんだ」という安心感さえ感じる笑。だけどもしっかりと怖い。すごい。


遺体安置所を営む親子が身元不明遺体(仮名ジェーン・ドゥ)の解剖をする事になり怪奇現象が起こる。
最初に出てくる焼死遺体で4段階の解剖手順をあっさりと説明されるので、ストーリーラインが明確に提示されていて非常に分かりやすい。基本的にはこの解剖手順に沿うようにして話が進んで行く。


この映画におけるジェーンドウはまさに怪異そのもであって、出逢う事がすでにある種の憑依になってるとも言える。「持っているだけで不幸になる人形」のように捉えてもいいと思う。

怪談噺の性質上、怪異に遭う者は取り憑かれた状態なので足掻きはするものの、怪異の術中から逃げるのことは困難。加えてただでさえ密室ホラーなこの映画笑。

ジェーンドウの解剖シーンは丁寧に描かれていて美しいが不気味。解剖が進んでいくにつれて謎が増していくのも不気味。いい意味で、ずっと嫌な感じが付きまとう。

現象だけじゃなく、ジェーンドウの死体そのものも十分すぎるほどに異質で異様。出血し続ける内臓、胃袋から出てくるアレとか。あーぞわぞわする。

また、ジェーンドウ以外の要素の使い方からテンプレ通りで期待を裏切らない。そこが日本の怪談っぽい!!
ラジオから聞こえる怪音。かってに開く扉。廊下に設置された鏡。エレベーター。繋がらない電話。等々。
死体の足に付けられた鈴の使い方などは言うまでもないだろう。


ただまあ、ラストの父親の悟りの良さだけは、手っ取り早く済ませてしまったように見えたので少しガッカリ。微々たる事だけどね。


この夏、稲川淳二が喋るか、新作落語でジェーンドウ聞かせて。
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