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ジェーン・ドウの解剖のJIZEのレビュー・感想・評価

ジェーン・ドウの解剖(2016年製作の映画)
4.1
バージニア州の遺体安置所を舞台に火葬場を営む親子が"ジェーン・ドウ(=身元不明の死体)"を解剖する過程で襲い来る遺体に隠された因縁を描いたイギリス発ホラー映画‼救いがない作品だった…エンドは賛否が割れる作品だと思います。結論から言ってしまえば続編を視野に置いたオカルトものの誕生譚なのかと。遺体に隠された因果応報(謎)をめぐって障害をはね除け親子二人が核心へ近付いていく。物騒な死体安置所という閉塞感も相まって緊迫感が凄く非常に攻めた部類に思えました。また本作,内容を読み取ればこう要約できると思う。要は"あるパンドラの箱を開けてしまった者たちが取り返しのつかない状態にまで追い込まれいつしか脱出できないままに呪いの餌食となっていく話"だと。一度進んでしまえば最後まで引き返しは効かない。状況が悪化し出す絶望展開は観ていて(襲われる親子が死体と無関係なだけに)非常に居たたまれない。開幕で前日譚とおぼしき一家殺害のエピソードを挿入させその中で"あの死体"が登場し同時にエピローグでも再び死体が登場するガラッと変わる視覚上の印象もゾワッとさせられお手の物だと感じました。本作で主人公だろう親子の風貌(関係性)もどことなく『バック・トゥ・ザ・フューチャー(1985年~1990年)』のマーティとドクにおける凸凹感を台詞の掛け合い等から意識させたり死体の謎解きパートでも主に外傷一つない死体,胃酸で溶けない体内に隠された布,細胞が未だに活性化してる謎,油を注ぎ全焼させても治癒する万能感など一つ一つが明白に解明されないだけに大風呂敷を広げた状態で終始していた事は言いたい事がないわけではないが表面上ではジャンルのお約束を拾いこぼさず旨味を堪能できる佳作だと思う。敵側と善側の比率が敵側に優位性を持たせた状態で終盤以降はガンガン進むので世界観(田舎町)そのものの静観な雰囲気と親子二人の親しいバディ要素など側目線で観た分には魅力が多面的にある作品だった。
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