解剖という新たな手段でのサスペンス物。
ある一家で正体不明の殺人事件が起き、その中で唯一外傷のない美しい女性死体が見つかり、鑑識にその死体を解剖する事を依頼するが、解剖するにつれて妙な事が起きていくというのが、この物語の肝だ。
正直、ホラーとしてはほどほどに怖い程度で、そこまで恐怖感はないが、解剖という新たな恐怖演出、死因はなんなのか?という謎が魅力的に描けていた。
外傷からは死因は全くわからないと言ってもいいのに、いざ解剖していくとグロ注意というレベルで素晴らしい損傷が見られ、こういった恐怖演出があるのかと思うほどだった。(舌や肺の演出や、血の流れる演出と排水口に向かって流れていくシーンとか素晴らしい)
美しい死体にメスを入れるのは絵的に映えるし、独特の感覚があり、この映画の魅力でもある。こういった解剖をテーマにした作品はなかなかないためグロテスクの面でも特殊な評価ができる。
短めの作品で、どうしてこうなったのかというのは完璧には説明されないが、十分に面白くサスペンスしている。
ただ、後半に行くにつれて、徐々に主題が解剖からずれ、普通のホラー的に変わって行くのが残念。ある意味理不尽な流れに変わって行くのはなんとも言えない。
終わり方は面白くあるかというとちょっと御都合主義的で、ちょっとあれだが、車に乗せられて終わるこのエンディングと音楽、そして最後の音これは見事!