こえ

カプール家の家族写真のこえのレビュー・感想・評価

カプール家の家族写真(2016年製作の映画)
4.8
インディアン・フィルム・フェスティバル・ジャパン2016(以下、IFFJ2016)にて、1本目。
家族って、家族なだけに、わからない。
祖父の危篤の知らせを受け、外国から兄弟が集まる。兄ラーフルはイギリスで作家として活躍中。弟アルジュンはニューヨークでフリーターのようだけど、彼も作家を目指してるみたい。「完璧」でこれからも順風満帆のような兄と、彼と比べると劣等生の弟という構図を中心に、好色なおじいちゃん(iPadを手に入れ、昔のインド映画のセクシーなシーンを視聴する)、真面目でカタいけれど不倫の過去を持つ父、問題の多い家族にずっと耐えて支え続けてきた母、そして兄弟といい関係になる美女ティア。
始まるにつれて、少しずつ家族の問題が次々に露呈してきて、中盤あたりで収拾がつかなくなるので、もうわけがわからなくなるけど、後半30分ほどの展開は涙なしでは観られない(最近では映画館では遠慮せずに泣くことにしています)。
予想の上をいくストーリー展開には圧倒された。上質なインド映画の重厚感というか、懐の深さには毎回「参りました」って感じだけど、これには特に心を動かされた。
問題は誰にでもある。問題のない家族なんてないと思う。
登場人物全員が悪いし、全員が悪くない。
人が存在していることそのものを、ただそれだけで肯定したくなる。そんな映画だった。
(アスガー・ファルハディ監督のイラン映画『別離』を思い出した。これも名作なので、お薦めします)
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