柏エシディシ

アンダー・ザ・シルバーレイクの柏エシディシのレビュー・感想・評価

4.0
これは今年最大の問題作。
今は、とにかく、おかわり鑑賞したい。
また観たい。何度でも観たい。
という気持ち。つまりこれって、好きってことよね?

2011年のハリウッドを彷徨う我らのフィリップ・マーロウはヨタヨタ、ふにゃふにゃのアンドリューガーフィールドくん。
ひとりでは解けない愛のパズルを抱いて、
ひとりでも傷ついた夢を取り戻せるのか?
ボンクラ男のマルホランドドライブ。
邪悪なララランド。

映画と夢の街、ハリウッドへの愛憎入り混じったデビッドロバートミッチェルの告解。
前2作が故郷デトロイトへのオマージュだった様に、本作は監督がいくら否定しようが、自身の青春へのレクイエムの様相がある事は否めない。夢中になって脚本を書き上げたというのも然もありなん。辻褄や整合性なんてファッコフ!男の思い出や欲望はそんなもんだろ。

グランジ(嗚呼、懐かしい響き!)、ニンテンドー、モノクロームのモンスタームービー、ヒッチコック。
膨大なサブカルチャーの海、いやさこの場合は湖と言うべきか。其処を泳いで(若しくは沈み込んで)辿り着く先に待っているのは虚無か、希望か。

It follows からのデビロバミッチ組、マイケル・ジオラキスのバキッーとした撮影はマーベラス。眼福。
ディザスターピースによる往年のハリウッド映画マナーのスコアと絶妙な挿入歌(ジザメリmeetsスマパン?)もハイレベル。前作のカーペンター風シンセサウンドとは違ったアプローチでこれだけのお仕事。ヤベェ。サントラは是非アナログ盤で欲しい。

まぁ、とてもじゃないけれど、一回の鑑賞で消化出来る様なシロモノじゃない。これから公開される本国アメリカでも賛否おおいに別れる怪作でしょう。しかし、間違いなくブルーベルベット、ファイトクラブ級に後年語られるであろうカルト作として映画史に刻まれるのは間違いない。
同世代の監督として、今後も並行して作品を追い駆けられるのがいち映画ファンとして、本当に幸福。
デビッドロバートミッチェルを称えよ!
柏エシディシ

柏エシディシ