ふたば三十郎

アンダー・ザ・シルバーレイクのふたば三十郎のレビュー・感想・評価

3.3
現代を舞台にノワールやるのは嫌いじゃない。
でも狙いすぎな演出は好きじゃない。

駄作じゃないし2時間20分も退屈しないけど、文句というか、こんなに色々言いたい映画も久しぶり。

まあ、ざっくり言えば探偵もの。
フィルムノワールあるある、女の失踪事件の裏に巨大な陰謀ありってテンプレどおりに話は進む。

ただし、主人公は私立探偵でも刑事でもない。
無職で暇だし自分が彼女に会いたいから探す。
そして自身も陰謀論に囚われてるから謎を解こうとする。

でもそれって謎を追う者=当事者、つまり初めから自分の目的のために事件を追いかけてるんですよね。

傍観者の立ち位置が気付けばどっぷりハマっていて、最後の最後に初めて当事者としての決断を迫られるって展開に、寂しさや虚しさや驚きなど心に響くのが、この手のノワールの醍醐味。
また、刑事なら仕事として事件を追ってたはずが、いつの間にやら自分が当事者ってパターンでもそう。

だが、本作では初めから主人公の意思が介在しているから、そういう展開にはできない。
だから、あとは観客が主人公に感情移入できるかが肝になってくる。
なのに、狙って感情移入出来ないような演出してるって、何なんだ、これは(笑)

74年の『チャイナタウン』は舞台が30年代だったし、最近では『インヒアレント・ヴァイス』や『ナイスガイ』も70年代を舞台にしている。
だから現代を舞台にノワールやるのは挑戦だし、主人公が当事者として展開するのも新しいけど、狙いすぎな演出がそんなに気持ちよくないのが残念。

あと、オチが2つは欲張りすぎ。
もしかしてアノ人⁉︎ってオチと、セレブの最期は良く出来てるけど、もっと上手くまとめられなかったもんかね。

それにあの謎解きも絶対アンドリュー・ガーフィールドには無理やって!
絶対40代以上じゃないと説得力皆無!
アレにピンとくる世代って40歳以上か、逆に新作通じてレトロゲームをダウンロードやエミュでやる20代とか。
いくらオタクでも30代は一番ないわ。
それこそホアキン・フェニックスなら納得、というかハマると思うけど。

まあ色々あるけど、長文になるってことは、総じて魅了的な作品であることは間違いない。
☆☆☆★