コミヤ

アンダー・ザ・シルバーレイクのコミヤのレビュー・感想・評価

4.4
この世を裏で支配する大きな力の存在を信じてやまない陰謀論オタクの青年が失踪した美女を追う過程で、LAの悪夢的世界に足を踏み入れ、遂にはこの世の真理に辿り着く。

ミッチェル監督の「アメリカンスリープオーバー」、「イットフォローズ 」の流れで本作を観ると、主人公の青年サムも前二作の主人公達と同様、身もふたもない言い方かもしれないが"理想と現実の乖離"という宿命?を背負っているように感じた。彼は負け組の人生を歩む現状に満足せず、何か人生の"意味"を見出そうとしている。

本気で好きになってしまった金髪美女、そしてこの世を操る力の正体を探すという行為こそ、彼が意味を求めていることの象徴だと思う。

では、結局彼は何を見つけるのか?それはこの世に"意味"なんてないってことだと思う。うる覚えだけど、ラストに彼がある部屋であるものを聞いた時に言う言葉からそう感じた。

自分が信じた映画、音楽が盗作だったりコマーシャルな理由で製作されていたなんて関係ない。そんな作品だとしても、意味を削ぎ落とした時に自分の中に残った生身の感動は真実だ!

あのラストの微笑みには彼が今後、人生の意味などという価値観に囚われずに、自分自信を偽らない素直な人生を生きる決意のようなものを感じた。

ゲームのように暗号を解読することで次のステージに進むような感覚、どこに向かうのかも分からないストーリー展開、大げさな音楽とカメラワークなど最高に楽しい映画体験でした!
コミヤ

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