バス行っちゃった

アンダー・ザ・シルバーレイクのバス行っちゃったのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

うちの表札のところにも意味不明なサインがあったので、これはひょっとするとこの部屋もアンダーでシルバーなレイクでホーボーな感じなのかしらんと思って調べてみたら、別にホーボーがやってきたとかではなく単に悪質なセールスマン同士の符丁らしいので気を付けよう。

欲望に突き動かされて様々な文化を貪る過程で文化同士の奇妙な関連性がわかるようになっていって、普通の人にとっては生活音や無音に近い雑音のようなものを感じ取っていくことで別の世界を読み解けるようになり新たな地平がひらけていくというのはまあ新しい芸術的な何かが生まれる理想的な道筋のような感じはするし、失敗は失敗だと思わなければ成功の過程であるという言葉がもう現実に対しての逃げ口上にしかなっていないという風な主人公もこの物語を通してそれまでとは違う世界に行きつけたように見えはするものの、それでも所詮は部屋が変わった程度のことで結局プールを眺める日々からは抜け出せないのかななどなど、あれこれ妄想するのが楽しい一方、妄想の方向に外からの緻密さを感じることもあって、どこまでが手のひらの上なのやらといった風。楽しい。