砂

アンダー・ザ・シルバーレイクの砂のレビュー・感想・評価

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なんとも説明の難しい映画である。ホラーかと思いきや、オカルトのようでもあり、しかしメタ批評的な作品でもあり、いい言い方をすれば作中の構成が入れ子的とも多元的とも言える。悪い言い方をすればあまりに色々詰め込み過ぎて主題が散逸してしまってるという印象もあった。

「イット・フォローズ」のように青春映画とホラー映画の文法を踏襲しながらもカラッとした独特な不気味さを混ぜ込んだ演出は本作でもみられ、その後の展開はなんとなく「テレビゲームっぽい」と感じた。
前作との関係はないが、It に似ている何かも登場する(今回はとてもマヌケな感じだが)
いくつもの謎を放り投げていること、カルチャーそのものを批評していること、セルフパロディまで含めていることを考えるとメタ的な批評、それも自己言及であり映画ファンに向けたものである気がしなくもないが(舞台はハリウッドであり、主人公は何らかの理由で夢破れ無職である)、何かを象徴しているのであろう演出が多すぎてどこまで読み解けるかは難しい。資本主義リアリズム的な行き詰まりの中でこそ生まれる作品という感じで、現代的な問題意識は垣間見れる。

多面的な観方が可能であるがゆえに、正直適切な表現ができそうにない。
色々と他の人の文を読んでみようと思う。

それにしてもニルヴァーナやバックストリートボーイズのくだりはベタであるが笑ってしまった。辛辣ではあるがまぁカルチャーというのはそんなもんである。
砂