AKALIVE

アンダー・ザ・シルバーレイクのAKALIVEのレビュー・感想・評価

5.0
文句無し、最高傑作‼️‼️

映画の神Alfred Hitchcockから2作のオマージュ
『Rear Window』(1954)、『Vertigo』(1958)。
他には、Robert Altmanの『The Long Goodbye』(1973)、Coen brothersの『The Big Lebowski』(1998)、Paul Thomas Andersonの『Inherent Vice』(2014)。さらに、映画に豊かさを与えているのは、『La La Land』(2016)で世界のトップ女優となったEmma Stoneの元カレ(そんな紹介でごめん🙏Andrew Garfield)が出ていて、Elvis Presleyの孫が出ている(Riley Keough❤️)、ということ。The Beatlesの「I Want to Hold Your Hand」(1963)とBob Dylanとにまつわる伝説的逸話の挿入 ~その1エピソードで映画全体の誇大妄想さをさらりと提示する~ 見事としかいえない(だけれど、これはかなり眉唾モノ)。

まだまだ
David Lynchの『Mulholland Drive』(2001)、Damien Chazelleの『La La Land』(2016)、遠くの方にやはりRobert Altmanの『Short Cuts』(1993)(特にタイム感)がいたりする。

まだまだまだ
カメラの動き、カメラの構図、被写体の動き、被写体の構図、つまりカメラのショットからは、やはりRiley Keough❤️が出ていて恥ずかしいものは撮れないということなのか、映画の王様であり続ける『Mad Max: Fury Road』(2015)にも負けない映像のスピード感 ≒ dynamism、活力を何度か表現してみせる❗️(偉い)
世界一有名なビーグル犬 = Snoopy のコミック・ストリップ、Charles M. Schulzの『Peanuts』みたく、それを最大の魅力的な表現として活用しているWes Andersonの諸作品(『Fantastic Mr. Fox』(2009)、『The Grand Budapest Hotel』(2014)💝💝)みたく、登場人物たちの真正面、横(左、右)、Wes Andersonに至っては真上、画面奥から目の前へ、またその逆へと登場人物たちとカメラとの息をもつかせぬやり取り素晴らしい先達へのオマージュも忘れない。いや、今回のDavid Robert Mitchellが辿り着いたのは、そんな登場人物たちの後ろ姿も撮るというダークな場所。ここでDavid Lynchの『Blue Velvet』(1986)に代表されてきた"Americaの闇"、"〈Hollywood〉の闇"、"Capitalismの闇"を芸術家は暴く、というスタンスを彼は取る。ーぶっちゃけるとこの映画は"Capitalism/資本主義の闇"を暴こうとしている。

この映画を観て俄然観たくなる映画を5本挙げるならば
①『Mulholland Drive』(2001)
②Janet Gaynor主演『7th Heaven』(1927)
③『Short Cuts』(1993)
④『Star Wars: The Empire Strikes Back』(1980)
⑤『Eyes Wide Shut』(1999)

鳥は何て言ってる?
ではThe Beatlesの「I Want to Hold Your Hand」(1963)とBob Dylanとにまつわる伝説的逸話、とは何のことかと言うと、1964年にBob Dylanがその曲を聴いた時に、彼は「I can't hide」という歌詞を「I get high」と聴き間違えたのだ。僕は鳥は「I get high」と言っていると思ったのです。誇大妄想だけれど、映画の主題も「パラノイア」についてなのだから、あながちズレていないでしょ。

まあでも、兎にも角にもこの映画、Thomas Pynchon的ですよ。まだまだ読み足りていないけれど、『Inherent Vice』(2009)ではある人物を"Doc"は闇の中から救い出そうとするし、『Gravity's Rainbow』(1973)では、Tyrone Slothropが時に自分、大体自分、時に誰かを追っ手から懸命に逃がそうとする。そんな小説たちです。だって相手は歴史の巨大な陰謀だったりするので、立ち向かう!というよりかは、逃げろ!ですよ。

最近の映画の「〈Hollywood〉映画に対する再検証」の流れは本当に感心させられる。最たる例がQuentin Tarantino監督の『Once Upon a Time in Hollywood』(2019)だ。このタイトルのHollywoodと言うのは、所謂「ハリウッド黄金時代」の1930年代〜1940年代のことではなく、場所としての〈Hollywood〉だよ、でもそれを1969年(「Hays Code」が1968年に撤廃され本格的に「自由」な表現をしていこう、という機運/気運が高まっていた頃)と限定して描くよ、というダブル・ミーニングだったと思っています。だから映画のクライマックスに掛かるVanilla Fudgeがカヴァーした「You Keep Me Hangin' On」(1967)は宇野維正さんが指摘するように、ちゃんとリアリスティックにラジオから流れる。タランティーノ以前は音楽は現場で鳴っていないのに鳴り出すんですけどね。それを「MTV感覚📡」って言ってね。タランティーノは、その「MTV感覚📡」の映画を殺したんですよ。と。僕もあの辺りがめっちゃ楽しく観れましたね。『Once Upon a Time in Hollywood』(2019)、最高‼️‼️(😆www)ー『Under the Silver Lake』(2018)もそのポイントを押さえているんですよ👏‼️。

最近の映画の流れ -もう1つ-
思想的な話になるけれど、Greta ThunbergやBillie Eilishらミレニアル世代が選挙権を有する有権者になったりポップ・カルチャーの主流派のオーディエンスになったり徐々に潮目も変わってきた。それと共鳴するように映画、音楽も、彼女ら/彼らが好むモノへと変わっていく。Netflix、A24がそれだ。新たな世代からは資本主義、新自由主義に対する抵抗を感じさせる声が最近聴こえてくる。もしかしたらひっくり返るかもしれない。
そんな流れをきちんと汲んで、David Robert Mitchellは『Under the Silver Lake』(2018)の中で、まずSilver Lakeと言う場所の説明から始める。ああ😞、ここ『(500) Days of Summer』(2009)の主演俳優Joseph Gordon-Levittが今暮らしている街なんだね。セレブになれた人がずーっと暮らすから地価が上がって〈Hollywood〉での「成功」を夢見る若者たちが住めない街になっているそうです。『(500) Days of Summer』(2009)を以前こう書いた。ーー

この映画をLehman shockの後に皆んな観たんだね。今はそこからもっと悪くなって恋愛を描くことも出来なくなってしまった。そうなの?
『La La Land』(2016)は恋愛についての映画ではない。

そしてもっと前に進みたい。
そうだ!『Under the Silver Lake』を観なくっちゃ!でもこれもきっと……いや観るんだ!!

ーー『La La Land』(2016)』は夢か恋愛か せめぎ合う映画だから、言い過ぎだけれど、『(500) Days of Summer』(2009)では「恋愛」、『La La Land』(2016)では「夢か恋愛か」、『Under the Silver Lake』(2018)では「夢も恋愛も諦める」となっているのでは❓ここまで格差社会が酷くなって、どうしろって言うんだろう❓夢も叶わなくて、恋愛も出来なくて。恋愛や結婚はまだ出来るとしても、子どもを育てるなんて子ども1人でも大変だよ⁉️⁉️ーだからSamは〈Hollywood〉の夢の瓦解を ケッ! どーでもいいよ! と見限るのだ。Andrew Garfield扮するSamの姿は誇大妄想のRock'n Roller = Bob Dylanそっくりだ。Bob Dylanの話はまた別のレビューに改めます。

Radioheadの話で締めます。

Just - Radiohead live from Saitama Super Arena, Japan 10/5/08
https://youtu.be/u-2hz0fEuwM

Radioheadの楽曲はどれもキツい/捻れたジョークで溢れているけれど、この曲も同様で、聴き手に対し"You do it to yourself/自業自得ってやつさ"とメッセージ的にはダウナーに響いてくる。ただし、この曲のまさしく dynamism、活力 は、聴き手のフィジカルに何か迫って来るのだ。何だろう❓もしかしたら彼らは、僕らは変テコだけれど、君が共感さえしてくれても良いんじゃないの?僕は変テコなんだ。だからってさ君には共感ってのも無いの??なんて歌っていたのかもしれない。この2008年の日本での「Just」(1995)の演奏を観て頂きたい。このナイーヴなイギリス人は、言葉も文化も違う国の若者たちに向けて"You do it to yourself/自業自得ってやつさ(解決は?君たちとやってくんだ!)"とぎこちなく歌い ~3:26~ 思いがけず武者震いすんだよ、思わず手が震えても、勇気を振り絞ること、勇気を持って歌うこと、Radiohead、Thom Yorkeのそんな姿に長年オーディエンスは勇気づけられてきた。

幸福って、人と一緒にいることから生まれるんだ。知らない人の目を見つめることから、道で出会った通りすがりの人とコネクトすることから希望は生まれるんだよ。幸福っていうのは、ファッキン・ポップ・スターなんかに見出せるものじゃない。曲の中に見出せるものなんかじゃないんだーーThom Yorkeのこんな美しい言葉を思い出す。

世間では何だこれ、と思われているに違いないこの映画に、かなり壮大で、あまりに感情的なレビューを書いたかもしれない。
ただ、確信したんです。やはり
自分にとってDavid Robert Mitchell監督はカルチャー・ヒーローなのだと。

私たち/僕たちの恋愛は さらに困難に "Phase X"に突入した。
なぁ、ミスター・タンバリン・マン、1曲聴かせてくれよ
まだ眠くないし、行く場所もないんだ
自分としては正に今付いていくべき映画監督はDavid Robert Mitchellです!!

追伸 :
またSpotifyのPlaylist作りました❗️お時間あったり、音楽にご興味ある方はどうぞ❗️選曲の感じチラ見だけでも ふーん! ってなると思います❗️55曲。今の気分。これは
『Rolling Stone Japan』の連載記事「POP RULES THE WORLD」でもお馴染み、僕のレビューでも何度も引用させてもらっている田中宗一郎さんが定期的に作っているSpotifyのPlaylist「POP RULES THE WORLD」の「〜202007」つまり2020年7月にこの数ヶ月の気分を反映させたPlaylistらしいです(?)。その選曲からめちゃくちゃ良いじゃん! という楽曲を自分の気分とも織り交ぜて作り直した 僕の今の気分のPlaylistです❣️

NO REALLY 💬or🔊 IT'S UP TO YOU
XO!!!

「Capitalism = Communism」
https://open.spotify.com/user/4w9cfhuw2yqn8op3ugwem1n3s/playlist/46s0yBnjulFm8JgU7mNL9G?si=VUwaKOOqR6GaPHSLMYfDsw

しかしまあ、タイトル(😹笑)。
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