ベルサイユ製麺

おとなの事情のベルサイユ製麺のレビュー・感想・評価

おとなの事情(2016年製作の映画)
3.7
イタリア発のソリッドシチュエーションスリラー!これは未体験の恐怖です!
ホームパーティに集まった4組のカップル!(但し1人欠席!)彼等は遊び半分で危険なゲームに!手を!出し!てしまう!
そのゲームとは…「今からケータイに来た連絡ぜんぶ公開ね」
キャーーー‼︎ビックリマークもう10個も使ってしまったよ。よくそんな恐ろしい事を考えるものですね。悪魔ですか?悪魔がメガホンを?私の友人は「PCのブックマーク見られるくらいなら車道に飛び出す」と言いきったものです。これがコメディですと⁇…あー、やましいところが無いとそう感じるのですかね。

…非常に良くできたコメディですとも。
室内限定の会話劇という事で、邦題のネタ元と思わしき『おとなのけんか』を連想された方も多いと思いますが、今作では気の合う紳士淑女、というかおっさまとおばさま達が明け透けにのべつ幕無し話し続けます。ゲーム開始前こそ、隠し事のないフランクな仲間達と言った風なのですが、いざケータイオープンしてからはその饒舌さが寧ろ疑わしく思えてくるという…。上手いですねぇ。
さらにケータイの所有者を巡る一捻りあったり、口論の攻守が入れ替る出来事があったり、非常に練られた脚本です。恐らく二回観たりすると、それぞれのリアクションとか微妙な表情とかも楽しめるのでしょうね。まあ、冷静に考えると「やめろ!馬鹿馬鹿しい」とか怒って逃げたり出来そうだし、そもそもゲームを発案したヤツよ⁈あなたはなんで⁇
細かい点はともかく、ゲームが巻き起こす顛末は楽しい人にはとっても楽しめると思います。個人的には始終身体が強張ってしまいましたけどね。爛れた修羅場は最終的に、ある種の人間の見下げ果てた習性すら炙り出します。このくだりのやり取りだけは明らかにコメディの範疇を超えている真摯な問い掛けだと思います。ほんと××フォビア死ねよ!と荒ぶっちゃいますね。なので、結末のふわっと感は残念では有ります。地獄の釜の蓋開けといて、「これはコメディでーす」では通らないと思いますよ。
近年の多くの映画がケータイとの向かい合い方を手探りで模索している中、今作はケータイが単なるお役立ちグッズやコミュニケーションツールではなく、使用者の欲望や秘められた性質を外部に顕在化させる、言わば心の中の悪魔が独立した様な存在にもなり得るという事実を提示してみせた点で、一方先んじていると思いました。なので、落とし所の曖昧さは返す返すも残念…。
トータルではとても優れた作品だと思いますが、『グランド・フィナーレ』を抑えてダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞(よくは知りませんが…)を受賞とかは全く納得いきません。そこまでのものじゃないよ。
皆さま、くれぐれもパートナー、御親友と一緒に鑑賞なさらない様に。流血沙汰必死!要、言い訳‼︎