おとなの事情の作品情報・感想・評価 - 106ページ目

「おとなの事情」に投稿された感想・評価

こぬき

こぬきの感想・評価

3.5
◉おとなの事情
数々の脚本賞を受賞。
上手い、確かに上手い!
しかし「超上手い!」までは行かず。
正直、キャスト固定のワンシチュエーションなら、「キサラギ」だし、「笑いの大学」だ。
それでも大元は「12人の怒れる男」があってのこと。
この3作を超えてるとは言えないだろう。
面白い。確かによく出来ている。
上記3作を観ていなければ、確実にスゴイと思うだろう。
しかし、もっとスゴイ作品に触れてしまっている以上、ここが限界。
それだけ「キサラギ」「笑いの大学」はスゴイってことか。
あーあ、あーーーーあ。大人だから色々あるよね。って人ごとだから笑って観れる。
メタファーとしての日蝕が始まるにつれ男女のペルソナが暴かれる。リビングルームでの会話が繰り広げられるだけの2時間がここまで濃厚になるとは恐れ入った。唯一の新人キャラ、ビアンカを観客目線にクロスオーバーさせ、誰もが客観的にインターネットに蝕まれた人間社会を垣間見ることになる。しかし物語が進むにつれて観客は段々と主観的に自分を見つめざるおえなくなる。なぜなら誰もが当事者になりうる(あるいは、もうなってる?)話だからだ。舞台がリビングルームだけに緻密な演出が見事に光を放った。あっぱれ
予想できる展開もありながら、会話密室劇として完璧な感じで面白かった!!!

最後は最後でいつのまにか和解したというより大人として秘密を抱えて、知っても知らぬフリして生きてくことという意味に捉えておきました。
yama

yamaの感想・評価

3.8
テンポがよくていい意味であっという間だった。結婚を経験したり、歳を重ねてからまた観たい。
おとなの事情観てきました。イタリア人夫婦たちの会話劇。おもしろかった!なぜか携帯を晒し合うゲームになるのですが、着信のタイミングや内容が絶妙でくすくす笑いながらもいろいろなものが露呈してあっという間に人間関係が壊れていくさまはちょっとこわい。人の携帯なんて見ない方がぜつたいに幸せ。
でもフフフと笑える終わり方で後味はよいです。舞台で観たら楽しいだろうなあ。
三組の夫婦と、独身男全員が食事中にスマホを出し、着信があればスピーカーに切り替え通話をし、メールが来れば内容を晒してから返信をするゲームを始める。


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人は必ず大なり小なり秘密を持っている。わざわざ言わなくてもいいことだったり伝えなければならないこと種々様々のものを。
秘密にしておくことで関係が保たれていることもあれば、カミングアウトすることによって関係が崩れることもあるし、よく話してくれた!と関係がそれ以上に深まることもある。

内容や関係性、タイミングによって行き着く結論は変わるのだけれど。
この映画で伝えたいことって、たとえそんなことが起きても相手を許し受け入れ、これから先も信じて行けるかどうかってところだと思うんですよ。人間は過ちを犯すものですからね。なんつって。

プライバシーの塊であるスマホという悪魔は、私の分身そのものなのか、はたまたもう一人の自分そのものなのかもしれませんね。

なかなか考えさせられる一本でした。
ストーリー自体はまぁまぁ面白い感じだったんだけど、それ以上に伝えたいことがあります。

新宿シネマカリテっていう小さい劇場で観たのだけれど(首都圏ではそこでしかやってなかった(-。-;)、ミニシアターの劇場で客席も小さくてアンプラグドフィルムで銀幕の前にスピーカーが二機といういかにもなシステム。座席自体も決して広くはなく隣の人との距離もそれなりに近い。そんな環境で観る映画って---隣の人は全く知らない人なのだけれど---何処か温かみを感じみんなで一つのものを観ているんだという一体感を感じました。
迫力あるIMAXだったりビップ席だったり視聴環境が発展していく一方、超アナログの良さも別格に感じる一本。ぜひ新宿シネマカリテへ足を運んでみては。

客層も様々で男女間の題材を取り上げた映画もあってか、夫婦、恋人が多かった気がします。
あいにく小生は独身クソ野郎なので、夫婦あるあるな感じとか周りが笑ってるところがよくわからなかったりする点は少なからずあった気がします。
それはさておき、分かりやすい映画なのでストーリー自体は置いておいて、こんなときそうなるよな、うん、あるある。自分が知らないだけで実際に起こってるかも?なんて疑ってしまうことも…そんな空気感を思う存分に楽しめる作品でした。
fueltakuya

fueltakuyaの感想・評価

4.0
ケータイを晒しあうゲームからはじまる会話劇、と言われるとなんとなく想像がついてしまうが。。

これは面白かった。男と女のいざこざを面白く描きつつもLGBT問題などが絡んで、笑えたり、寒気がしたり、ほっこりしたり色んな感情が絡み合う。こんなの側から見てたら面白いに決まってる。けどもし自分が参加するとなるとホラーでしかない。。。
mito

mitoの感想・評価

3.7
「携帯は秘密を抱えたブラックボックスだ」…食事会で放った言葉から携帯の着信を共有するゲームを始める既婚者ばかりの仲良しグループ。
そして着信音がなった時、彼らの関係を揺るがす事態に発展する。

観る者誰もが想像する通り、不味い展開に発展するに決まっている設定(笑)

前半は笑える展開や着信、メッセージが目立つが、後半は「ひぇー」ってなる着信ばかり。
そりゃ携帯やスマホはパソコンと同じで、保存しちゃヤバイもんの1つや2つあるわな。

もう少し、仲間内、つまり食事会で集まったメンバーの裏の繋がりが多いと大いに盛り上がった気もしないでもないが…これ以上面倒くさい事件が起こってもボリューム感が増し過ぎて収集が付かなくなりそう。

ラストはそのドロドロを払拭するような会話劇が繰り広げられ、「えっ、じゃあどこまで信じればいいの?」と逆に考える余地が生まれている。

いやー、嫌なもん観た(笑)
これは面白い。見事なイタリア製の艶笑コメディで、とにかくおすすめ。7人の登場人物たちがひたすら喋りまくる会話劇に、一瞬たりとも彼らや彼女たちのセリフから気をそらせることはできない。ひと言も聞き漏らさずスクリーンを見つめていたい、そんな気持ちに駆られる作品だ。

タイトルが出る前の導入部では、まず3組の夫婦のその夜の家でのひとコマが描写される。新婚カップルのコジモとビアンカはいざ仕度をして出かける間際なのにコジモがビアンカにちょっかいを出す。倦怠期の夫婦レレとカルロッタ、なにやらレレはトイレに篭って携帯をいじっている。ふたりで家を出るとき、カルロッタは部屋に戻り、ドレスの下の下着を脱ぎ捨てる。医者と心理カウンセラーの夫婦であるロッコとエヴァ、娘のバッグから避妊具を発見して諍いになるエヴァ。ロッコは厨房で黙々と今日の食事会の準備をしている。

月食の夜、この3組の夫婦ともうひとり最近恋人ができたばかりだというペッペが、ロッコとカルロッタの家に集まり食事会が始まる。恋人同伴だと思われたペッペが最後にひとりで来たので、食事会は7人で始まるのだが、愛人からのメールが発覚して最近離婚することになった共通の友人の話題が出たところで、携帯を使ったあるゲームが提案される。

それは、自分たちは携帯が元で離婚した友人夫婦とは違ってお互い信頼と絆で結ばれている、秘密はないので携帯を誰に見られてもだいじょうぶということで、互いに携帯をテーブルに置き、メールが届いたらみんなの前で読み上げる、電話が鳴ったらスピーカーフォンに切り替えてみんなの前で話す、というゲームだった。このゲームの発想が面白い。この類を見ない遊びが、その後の人間臭いドラマを演出する。

やがて電話が鳴りメールが届き始めるが、最初は当たり障りのないものばかりだったが、レレが愛人からの連絡が毎晩10時にあるので、機種が同じだったペッペにすり替えを頼むあたりから事態は怪しくなってくる。露わになっていく各人各様の秘密。豊胸手術、同性愛疑惑、変態的性癖、浮気相手の発覚、次から次へと明らかになる真実に、和やかに始まった食事会はとんでもない方向に向かっていく。

ほとんどのシーンがロッコとエヴァ夫婦の家のダイニングで7人の会話が交わされるワンシチュエーションのドラマだが、次から次へと飛び出す会話がウィットに富んでいて面白く、テーブルに上る料理がまた美味しそうで、月食の進行なども効果的に使い、まったく飽きることがない。とくに携帯でのゲームが始まってからは、妙なサスペンスも生み、一瞬たりとも目が離せないブラックなコメディにもなっている。

イタリアでのアカデミー賞にあたる第60回ダヴィッド・ディ・ドナテッロ賞で、パオロ・ソレンティーノ監督の「グランドフィナーレ」やジャンフランコ・ロージ監督の「海は燃えている~イタリア最南端の小さな島~」などを抑えて、作品賞と脚本賞に輝いた作品だそうだが、自分が審査員でも(3作品とも観賞済み)、このパオロ・ジェノヴェーゼ監督の「おとなの事情」に軍配を上げる。

作品の中で登場人物のひとりが、実は彼がいちばんやましいところがない人間であるにもかかわらず、「たくさんの個人情報が詰まっている携帯を遊びに使ってはいけない」と自戒の言葉を吐くが、ある意味この便利な道具を痛烈に皮肉っているとも聞こえる。でも、この危険なゲーム、ちょっとやってみたい気はするが、たぶんこんなドラマチックな展開にはならないだろうな。