きよみず

ノクトラマ/夜行少年たちのきよみずのレビュー・感想・評価

ノクトラマ/夜行少年たち(2016年製作の映画)
4.0
東京国際映画祭7本目。ついに最後。

フランスでテロを企て、実行する少年たち(といっても青年多数)の映画。
5年前に撮影していたとはいえ、タイミングがタイミングすぎてびっくり。

特徴的なのは、メガバンクやらが絡んできていて何となくは事件の発端を想像できるが、肝心の少年グループのバックグランド、目的、動機などは全く描かれておらず、ただただ彼らを追う映画になっていること。
どんなバックグランドがあっても報道される時には、それらは無視され一括りに反社会分子として取り上げられるし、現に劇中ではそう描かれていたので、そういう意図も孕んでいるのかなと勘ぐってしまう。

テロを起こす人たちも人間であって、特に今回はまだ前途洋々な若者たち。
ホームレスへの施しをしたり、デパートのマネキンと同じものを来ていたり、極度の緊張から解放されれば踊ったり性欲を発散させたり、愛を確かめたり、何もしてなければそこら中にいる人たちと何ら変わりなく、彼らの人間らしさを見せられた気がする。

もしかしたらここで死ぬのかも知れない、捕まるのかも知れない。ようやく考えれる余裕が出て来た時のMY WAYは痺れた。

セリフがないまま数人の少年たちが変わり変わりに映し出されていく冒頭は、ついていけないと思いかけたが杞憂だった。
反対に、最後の方の時間をいじっての演出は何もせずスマートに収めた方が容赦のなさ、非情さが際立ったと思う。

根本的に解決しなければ、炎は消えることなく燃え続けるだろうとラストカットを見て感じたし、ちょっとやそっとじゃ揺れない国家組織というものは想像より情報収集能力含めて抜かりなく盤石なんだなと再認識させられた。
きよみず

きよみず