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ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣のandhyphenのレビュー・感想・評価

4.0
セルゲイ・ポルーニンは孤独だ。
才能に恵まれた彼の為に家族は出稼ぎに出、離れ離れになる。そして彼は自分の踊りが家族の犠牲の上に成り立っているということに重圧を感じながら踊る。踊ることは彼にとって家族をつなぎとめる楔のようなものだ。
だが両親が離婚したときその楔が切れる。家族の為という大義名分を失った彼が彷徨う様。踊ることを望まれ、踊ることしかしてこなかった人生でぶつかる壁。
芸術家が大成するために必要なのはなんだろうと考えてしまった。彼が恵まれた環境で育った時にあの踊りが生まれるのか、と思うと答えに窮してしまう。けれど苦しみを得たから今がある、というにはあまりに厳しすぎる人生だと思った。
最終的に彼は踊りの道にとどまる。「踊るのは大好き」と言う。彼の中で踊り人生は分かち難く結びついているのだ。
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