桃子

ダンサー、セルゲイ・ポルーニン 世界一優雅な野獣の桃子のレビュー・感想・評価

3.8
バレエファンを豪語しているわりに、セルゲイ・ポルーニンは全く知らなかった。最近はバンド活動と映画鑑賞(と、たまに写真撮影)に夢中で、バレエの舞台を見に行くこともなくなったし、映像を見ることもないし、アンテナも全く張っていなかったから。
どの世界にも天才と呼ばれる人はいるものである。バレエでは特に子供のころからその才能を見抜いて、優良なバレエ学校で訓練するのが常なので、天才でも気を抜いてはいられない。バレエの才能があっても、お金や運がなければ先に行けないのだ。この映画でも、子供のために家族総出で働き、家族がばらばらになってしまい、両親は離婚してしまうという話が出てくる。これは世界中、どこでも同じようなことが起きているのだろう。有名なバレエ団でプリンシパルとして活躍できるのは、氷山の一角のダンサーなのだ。
セルゲイは、他のバレエダンサーとはだいぶ違っている。カリスマが半端ない。美しい容姿はもちろんのこと、全身にタトゥーを刻み、舞台の本番前にはたくさんの薬(何の薬かわからないけど)を飲む。
ダンサーはストイックな人が多いのだけれど、彼の場合は自分に何も制限をかけない。好きな時に好きなだけ食べたり、食べない時は何も食べなかったりしたそうである。
稽古、本番、稽古、本番、これを繰り返す生活。自分の時間が全くなくなる。そしてバレエ団を電撃退団してしまう。
そして、引退を考えて踊ったのが「Take Me to Church」。この動画がYoutubeでヒットして、その後少しずつまた仕事に復帰したようだ。今では俳優としても活動している。「オリエント急行殺人事件」と「レッド・スパロウ」に出ているそうなので、是非見てみたい。
天才は孤独なんだろうな。凡人には天才が考えていることも、その苦悩も理解できないから… 
桃子

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