・自分がバレエで家族を結びつけていたかったけれど、結局バラバラになってしまった。
・目標を失えば、誰しも心が折れてしまう。
という部分が印象に残りました。私はまだポルーニンのパフォーマンスは映像で切れ切れにしか見たことがなくてよく存じませんが、さも感情的な出任せみたいな理由でロイヤルを離れたのかと報道の内容から思っていたので、これを見て、なるべくしてなったというか、そんな印象に変わりました。いろいろと思いはあれど、踊ることが好きだとご本人が語り、実際ロイヤルを離れて以後のご自身の活動もダンスとともにあったところで、関わり方はひとつじゃないことを見つけていて安心してしまったというか。
あとロイヤルの方が、一定の型は踏まえていても独自の味をつけて月曜と水曜で違うことをするのだと話しておられたのも強烈でした。入団初日からプリンシパル級であったとか、スクール時代の同輩との差の歴然たることや、踊りの神様が過分にお与えになった存在なのかもしれないな、と。そのぶん家庭のほうでバランス取らないといけなくなったのだとしたら、踊りの神様の配分ミスですね。とにかくよ、十代前半であの安定感と見応えはすごい……異次元。これはもう同輩だって、妬み嫉みを軽く超えて、夢に近い憧憬を抱いてしまうに違いありません……
倉庫のような砂っぽい空間で踊るソロも素敵ですが、私はエンドロールの冒頭で踊ったソロが好きです。これまでのもやもやとか引っ掛かりが取れて、身軽になった感じというか。そのぶん深まった感情とか、見ながらなんか色々湧き上がりました。
お綺麗ですし、所作も洗練されていますし、神経質で荒々しい刺のある演技で心に残りますし(なんのときだったろう、「オリエント急行殺人事件」だったかな)いろんな世界で活躍して欲しいです。