いずみたつや

ある決闘 セントヘレナの掟のいずみたつやのレビュー・感想・評価

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暑苦しく、気怠く、不穏な空気感が切り取られている点は、"荒野モノ"(西部劇ではなく荒野が舞台のもの全般)が好きな僕にとっては嫌いにはなれないものがあります。

というのもこの作品は「西部劇」とは少し違った味わいがあります。どこかで「ウエスタン・ノワール」という表現を使って感想を描いてる方を目にしたんですが、言い得て妙だと思いました。個人の復讐譚を超えて、より深い闇へと誘われていく感じがまさにそれという気がします。

ただ、ノワールというにはやや物足りなさを感じるのも確かです。かと言ってミステリー要素もサスペンス要素も弱すぎたところが地味になってしまった要因かなと思います。

現代にも通ずる終わりなき暴力の遣る瀬無さを浮かび上がらせた点には熱意を感じました。