ニクガタナ

人生フルーツのニクガタナのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
3.8
タイトルは、人生(は)フルーツというイントネーション。ずっと観たかった、建築家津端修一さんと英子さん夫婦の、とても真似できそうにないけどいい歳の取り方を丁寧に追ったドキュメンタリー。フィルマでの高評価も納得の素敵な作品。タイトルの入れ方がオシャレ。建築家たちの名言や、繰り返される「風が吹けば、枯葉が落ちる。枯葉が落ちれば、土が肥える。土が肥えれば、果実が実る。こつこつ、ゆっくり。人生、フルーツ」の至言が樹木希林の声で語られ染み入る。同じ旋律繰り返すピアノ基調の劇伴も効いている。とにかく二人の生活が愛おしい。お二人とも歳を取った方がいい顔なのが素敵。カメラの存在を意識させない、いい撮り方。自宅の畑で収穫した野菜や果実を英子さんが調理した料理が何かと美味しそうでけっこう飯テロ風味。でも一番美味そうだったのは修一さんの手作りベーコン。畑のあちこちに配されたイラスト入りの修一さん手作りの黄色い看板が画面に映える。孫娘のシルバニアファミリー用、手作り木製ドールハウスがちょっと日本の田舎の家風情で遺影?が飾ってあって装飾がちょっと変だけど羨ましい。英子さんは夫に手の込んだご飯の朝食をしっかりつくってあげて自分が食べるのはパン。夫を支えているけど、従わされてる感じはないのが良し。ちゃんとしたものしか買わないから、愛知県の高蔵寺ニュータウンからバスと電車に揺られ1時間くらいかけて名古屋市内まで買い物に。その労に頭が下がる。コンビニに行ったことがないとは恐れ入る。畑仕事に調理他家事に忙しそうなのに機織りまでしちゃうのがなお恐れ入る。戦時の友情が泣ける台北旅行パートが挟まり、ちょっとずるい構成で後半けっこう泣かされました。
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