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人生フルーツのundoのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.2
風が吹けば、枯葉が落ちる。

愛知県は春日井市、高蔵寺ニュータウンにお住まいの老夫婦、津畑修一さんとその妻、英子さんが送るスローライフを記録したドキュメンタリー。

もともとは東海テレビのドキュメンタリーとして制作された作品。
昨年話題となった、やはり老夫婦の来し方行く末を描いた『ふたりの桃源郷』も山口放送のドキュメンタリーだった。
こういう素晴らしい作品を作ってくれるということで、日本のテレビも捨てたものではないと思います。

ナレーターは樹木希林さん。
誰もが知ってる超ベテランの大女優さんですが、津畑さんご夫婦は、なんと樹木さんよりひとまわり以上も年上で、撮影当時、修一さんが90歳で英子さんが87歳。娘さんはすでに巣立ち、大学生のお孫さんがいます。

2人きりの老後生活。
その生活は、自然と、そして人とのつながりを大切にした、調和のとれた美しいものでした。

枯葉が落ちれば、土が肥える。

日本人であれば、誰もがいつかどこかで聞いたことのある生活のコツを、この年齢になるまで実践し続けてこられた津畑さんご夫婦。

ほんの一例を紹介すると…、

・きちんとしたものを食べる。
食べ物は知ってる人からしか買わない。
スーパーで買い物する時も、売り場の知ってる人から買う。コンビニとか論外。
英子さんは、修一さんにはきちんとしたものを食べさせたい。夫がきちんとした食生活を送って元気でいてくれれば、自分にとっても良いことだと考えるから。
食べた後は、修一さんが売り場の人に感想の手紙を書く。

・作れるものは作る。
修一さんは建築家なので、なんでも自分で作る。
簡単なところでは、高い窓を開け閉めするための棒のようなものから、お孫さんのおもちゃまで。設計図をきちんと書いて作る。
シルバニアファミリーの家も作る。超絶クオリティ。

土が肥えれば、果実が実る。

世の中は一見、どんどん便利になっていっていて、人とのつながりをおろそかにしても、それなりに生活ができてしまう。
だけど、せっかく生まれてきてのだから、何か自分なりの工夫をして生きていきたいもの。
使命があればそれを果たすため、そうでなくても自分がこう生きたいと思う姿を目指すことの大切さを本作から教わったような気がした。

こつこつ、ゆっくり、人生フルーツ。
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