kogemarukiyomin

人生フルーツのkogemarukiyominのネタバレレビュー・内容・結末

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.3

このレビューはネタバレを含みます

現実とおとぎ話が交錯する、深いテーマに触れながら素敵な夫婦の日常を描いたドキュメンタリー。

舞台となった高蔵寺ニュータウンは私の地元から近い場所にあるので少し馴染みがある。
何故駅から少し離れたこんな高台にニュータウン?と疑問に思ってきたけど、戦後の日本経済成長と甚大な伊勢湾台風の被害を受けた地域という背景が大きな理由だった事が解り納得できた。

素敵なご夫婦は住宅公団の職員だった時にこのニュータウンを設計された建築家・津端修一、英子ご夫妻。
ご夫婦の知的で穏やかで優しさに溢れた人柄に心の底から癒された。
三河、知多地区出身の若かったお二人がこの地を永住の地に選んだ理由は理想と現実の穴埋め的な感じだったけど、何でも手作りでこつこつ丁寧に時を貯められた結果、緑でいっぱいの裏山、宝箱のようなご自宅と生活、市街地のような利便性には欠ける地区でご高齢でもしっかり自立した生活を送れる健やかな身体。多くの人達の理想になった。
修一さんの最期の仕事が心からご本人の満足のいく仕事でよかった…

ただ、理想的であっても現実には誰もが真似できる価値観や生活ではないのは確か。
このご夫婦のように遠くを見据えて身体も感性も出来るだけ若く保てる努力を惜しまないようにしたい。それが互いに思いやれる豊かな人生に繋がればいいなと思う。