みんと

人生フルーツのみんとのレビュー・感想・評価

人生フルーツ(2016年製作の映画)
4.6
人生を深く考えさせられる素敵な二人のお話だった。ココにも確かに“日日是好日”の精神が宿っていた。

建築家の津端修一さん(90歳)と英子さん(87歳)ご夫婦の日常を綴ったドキュメンタリー。
樹木希林さんのナレーションがしっくり馴染んだとても味わい深い作品だった。

掛け合う言葉の優しさ、お互いを尊び、慈しみ思いやる。二人の間に流れるゆったりとした空気感がなんとも言えず心地よくて、積み重ねた人生が顔に佇まいに溢れている。

修一さんの建築家らしい暮らしの知恵や遊び心の中にも仕事へのプライドや姿勢が垣間見られ、肉体の衰えに勝るクリアな頭脳と感性には頭が下がる。
お手紙の丸文字、可愛らしい挿絵、全てに気持ちが篭もっていて、その人柄が滲み出ている。そして最後の最後まで生き抜いた姿が神々しくも美しい。

一朝一夕で成らないから人生は面白い。
そこに至るまでに経験したあらゆる出来事が最終的に辿り着く人生の豊かさへと繋がる。人それぞれ、同じ人生なんて決して無いけれど誰もがこうありたいと思える生き方ではないだろうか。

人として当たり前の感覚を持ちたい。自然の声に耳を傾け日々に感謝出来る丁寧な生き方。お二人の姿をお手本に、数十年後の自分達の姿を重ね合わせながら今からイメージトレーニングする事も無意味ではない気がする。

賛否あれど菅内閣の「自助」の精神が妙に腑に落ちる。何でも自分でやってみる、コツコツと丁寧に時間をかけて、、、

高齢社会を生きるヒントと日々の暮らし方や物事の捉え方、感じ方、考え方...
全てを素直に受け入れられる作品だった。

人間も自然の中のひとつに過ぎないのだと痛感させられる。
とりわけ“鳥の水飲み場”のエピソードが堪らなく愛おしく、また心がじわ~っとあったかくなる。そしてとてもストーリー性を感じる出来事てもあった。

雑木林の片隅に寄り添うお二人からしっかり人生を学ばせてもらった。
みんと

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