人生フルーツの作品情報・感想・評価

人生フルーツ2016年製作の映画)

上映日:2017年01月02日

製作国:

上映時間:91分

4.4

あらすじ

かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきた。1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。しかし、時代はそれを許さなかった。GDP世界第2位(68年)などに象徴される高度経済成長期。結局、完成したニュータウンは理想とは程遠い無機質な大規模団地だった。修一さんは、それまでの仕事から次第に距離を置くようにな…

かつて日本住宅公団のエースだった修一さんは、阿佐ヶ谷住宅や多摩平団地などの都市計画に携わってきた。1960年代、風の通り道となる雑木林を残し、自然との共生を目指したニュータウンを計画。しかし、時代はそれを許さなかった。GDP世界第2位(68年)などに象徴される高度経済成長期。結局、完成したニュータウンは理想とは程遠い無機質な大規模団地だった。修一さんは、それまでの仕事から次第に距離を置くようになる。そして1975年、自ら手掛けたニュータウンに土地を買い、家を建て、雑木林を育てはじめた。それは修一さんにとって、ごく自然なライフワークとして継続されることになる。あれから50年、ふたりはコツコツ、ゆっくりと時をためてきた。そして、90歳の修一さんに新たな仕事の依頼がやってくる。

ナレーション

「人生フルーツ」に投稿された感想・評価

panpie

panpieの感想・評価

5.0
今日初めて映画をハシゴしました。
いつもは都合つく時間が無く暇が出来た時に一本だけ観て帰るのですけど続けて観れる時間と観たい映画の時間が合って続けて観る事が出来ました。
続けて観ると前の映画の感想が薄くなっちゃうかなと思ってましたがそんな事ない程どちらも素敵な映画で観終わってすぐレビューする事も初めてかもしれません。


90歳のおじいちゃん、87歳のおばあちゃんがお互いを思いやっていたわり合って本当に素敵でした。

おじいちゃんは建築家で住んでる家も自分で設計して建て二人は野菜も果物もほとんど自給自足で生活しています。
おばあちゃんはその野菜や果物で美味しそうなお料理を作って二人は幸せそうにそれをいただいています。
それ以外の食料品はバスと電車を乗り継いでいつものお店へ買いに行くおばあちゃん。
そのお店に一週間後美味しくいただきましたって絵葉書を描いて送るおじいちゃん。

印象的だったのはおばあちゃんはパン食なのにおじいちゃんには雑穀米を土鍋で炊いて毎朝作っているとこ!
あとおばあちゃんはじゃがいもがあまり好きじゃないのにじゃがいもが大好きなおじいちゃんの為にじゃがいも料理を作るとこ!
朝食に手作り羊羹が出てくるとこ!
お鍋で作ったのかな?でっかい手作りプリンを作ってそれを見たおじいちゃんは嬉しそう。
使い込まれた土鍋や鉄鍋でのお料理本当に美味しそうでした。

二人は世間で言うところの高齢者なのだけど驚く程フットワークが軽やかで働く働く。
じっとしてる事はなく実にアクティブ!
障子自分で定期的に張り替えるんですよ!
おばあちゃんのお料理中おじいちゃんが洗濯物を畳んだり。
もうびっくりして顎ガーンてなりました。
私の方が若いけど仕事が休みの日こんなに1日動いてるかなって。笑
口調もね軽やかなんです。
ご高齢なのに言い淀んだり言葉が出て来ないなんて事は全く無くスラスラハキハキされていて後期高齢者なんて言ったら失礼な程しゃっきりしている!
私こんなにゆるりと映画を観た事が無かったんじゃないかって思う程くつろいだ気分で映画館で観たのは初めて!
とってもあったかくて二人を観ているだけで幸せだった。

戦時中のお話やこの後悲しい事が起こるのだけど二人の人との関わり方が凄く温かくて優しいんです。
こんな気持ちは少し忘れていました。
まず人を大切にする事。
凄いなぁ。
映画を観て心洗われて少し今までの自分を反省しました。

丁寧に生きる。
なんでも自分でやってみる。
そしたら何かが見えてくる。
いきなり全部はハードルが高くて出来なさそうなので少しずつやってみようかなと思いました。

私も帰ったら久しぶりにじゃがいものコロッケ作ろうかな。(*^^*)
途中までどう死ぬか、どう人生を締めくくるのかの物語だと思っていたが間違っていた。
これは紛れもなくどう生きるかを描いた物語であり、建築家として責任を持って生き抜き、常に刃を研いでいた修一さんと、そのパートナーでいる、まさしく一心同体で生き続ける英子さんの物語だった。
許可局で聞いてすぐに見れていなかった自分を呪う。
風が吹けば、枯れ葉が落ちる
枯れ葉が積もれば、土が肥える
土が肥えれば、果実が実る

詩のリフレインのように繰り返されるナレーション。
まさか途中でお亡くなりになるとは思わなかったが、ひとつの人生というスパンの中で繰り返し再生されるもの、世代をまたいで再生されるもの、そういうものの存在を思う。
ご本人たちは特定の宗教を持たないようだが、宗教性のあるドキュメンタリー。
台湾の陳さん(1950年に戦犯として銃殺される)の墓のあまりの姿に驚いた。覚え書き。
Alisia

Alisiaの感想・評価

5.0
幸せとあたたかさと生きること。

風が吹けば落ち葉が落ちる
落ち葉が落ちれば土が肥える
土が肥えれば果実が実る
こつこつ、ゆっくり

なんでも、ひとりで、
ゆっくり、こつこつ。


ひでこさんの顔が、修一さんが亡くなって一気に老け込んでびっくりした。
そんなに変わるのか。
修一さん、素敵なボーイフレンドだったもんなあ.....

出てくる食べものが美味しそうすぎて、ずっとぽかーーーんと口が空いたまま。

カットも秀逸。
本当に寄り添って撮ったはず。

最後に「一生に一度の最高のお仕事」が舞い込んだ修一さん。
それを待っていたのかなあ。
ぜひ行ってみたい。

とりの水分 どうぞ!
馬子

馬子の感想・評価

4.0
愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウンの一隅。雑木林に囲まれた一軒の平屋に、四季折々の70種の野菜と50種の果実を育て、時を重ねてきた2人
こつこつ、ゆっくりと50年間
お金ではなく時間を貯めてきた
まるでお飯事の様な暮らしの穏やかスローライフ

心が浄化される90分間
こちらまで優しく穏やかな気持ちになれた

東海テレビの取材なのに、英子さんが見ていたテレビではCBCのゴゴスマが放送されていて、それをそのまま流すあたりが少し笑えた
人の一生をほんの一瞬で見たような気持ち。色々な人生があるなぁとしみじみ。こんな幸せな暮らし、私には出来るかな。お孫さんが大切に 料理を食べてくれてるといいな。
年季の入った声が耳から自然にすぅっと入ってきて、その言葉がしみる。

コツコツ、ゆっくり


2018.4.16
ほぼ日刊イトイ新聞の今日のダーリンが、ちょうどこの映画にぴったりなテーマだったので引用、紹介させてもらいます。

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・「長持ち」する、ということに、感心できるようになるためには、じぶん自身がある程度「長持ち」してないといけない。そんな気がします。

--中略
・「長持ち」というのは、まったく同じことをずうっと長く続けていることではないんですよね。スタートから、ずっとなにかしら変わりながら進んでる。上手になってるとか、量をこなせるようになったとか、他人の見る目がちがってきていたとか、他の似たような人たちがだんだん脱落していったとか、いろんな要素がからまって、ひとりのことなのに、次のじぶんにバトンを渡すリレーみたいになっている。そういうことにも気がつきます。
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長生きしたひとの言葉には沢山の経験が詰まっている。
Fumi

Fumiの感想・評価

4.5
地元の小さな映画館で見ましたが、
平日にも関わらず、満席で通路に座って見るほど人気でした。

なんて格好いい年の取り方なんだろう。

こつこつ、じっくり、人生フルーツ。
何度も作中で繰り返されるセリフですが、
自分もこつこつ、じっくり熟す、実りある生活、仕事を目指したいと思いました。
1日1日を大切にして、死ぬ最期までできることをやっていく。
できそうで中々できない、それを生涯続けていた修一さんと英子さん。
すげぇわ。。。

2人の沈黙の間、スプーンへのこだわり、散髪風景、互いに尊敬してるのがよかったなぁ。

手作りのシルバニアファミリー、どんぐりの木、信頼できる所からしか食材を買わないことで、何事も手を抜かず謙虚に生きてるのが分かる。
hirogon

hirogonの感想・評価

4.2
愛知県高蔵寺ニュータウンの一角に雑木林のある庭に囲まれた平屋。
庭で作物を育てながら暮らす老夫婦。撮影時点で、津端修平さん90歳、英子(ひでこ)さん87歳。二人に寄り添った密着ドキュメンタリー。
お互いをかけがえのない存在として歳を重ねた夫婦、見ているだけで温かい気持ちになります。

津端家の庭の風景は、植物や作物に付けられている名札に添え書きされている言葉がとてもいい。愛情が感じられて思わず笑顔になるような言葉たち。
修平さんはイラストも上手。筆まめでハガキも日常的に書かれているのですが、添えられたイラストと愛嬌のある手書き文字で綴られる優しい言葉に人柄が滲み出ている。
修平さんも英子さんも、とても”言葉”を大事にする人たちだったんだなあ。

修平さんは、東大建築出身、ヨット部主将で愛知県半田市の国体に参加するが、宿が足りず造り酒屋の英子さんの家の蔵を借りたのが、二人の馴れ初め。

二人の結婚後、日本住宅公団のエースだった修平さんは、愛知の高蔵寺ニュータウン計画のマスタープラン作成を任されます。自然の地形を活かしたプランを作成するのですが、結局、経済優先・効率優先の流れで修平さんのマスタープランは修正され、効率的な南向きのマッチ箱のような建物群が建ち並ぶ計画になってしまいます。

津端夫妻は、ニュータウンの一角に土地を購入し、庭に雑木林のある平屋を建てて暮らし始めます。
小さな雑木林を育て、庭で作物を作ります。
庭に落ち葉を撒いて土づくり。土が良ければ作物は育つ。
落ち葉が土をつくり、とれた作物を頂く生活。

2015年、修平さんが亡くなります。草むしりの後、昼寝をして、そのまま眠りから覚めなかったという穏やかな最期。
でも二人三脚で歩いてきた伴侶を突然に失った英子さんの喪失感の大きさはいかほどだったか。「私も、そちらに行くまでもう少し待っていて」という言葉が胸に響く。

終盤、修平さんが亡くなる前に取り組んでいた、佐賀の”山のサナーレ”という精神病院から依頼された新しい施設の建設計画の話が紹介されます。
相談を受けた修平さんは、一生に一度の仕事と巡り会えたことを感謝して、無償ボランティアで協力します。
何枚ものレイアウトスケッチ案、添えられた言葉。ここでも、説明用の言葉に修平さんの想いが込められていて計画に対する気持ちがすごく伝わってきます。修平さんの死後、工事が開始されます。

二人のモットーは、「できることからコツコツとやる。そのうち何か見えてくる」
修平さんが孫にせがまれて作った木造のシルバニアファミリーのミニハウス。英子さんが機織り機で自分で布を織るシーン。
まさに、「自分たちでできることは、自分たちでやる。」の精神です。

樹木希林のナレーションも合っていて、とても良い映画でした。
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