太陽の塔の作品情報・感想・評価 - 4ページ目

「太陽の塔」に投稿された感想・評価

美波

美波の感想・評価

3.9
高校生の頃、ミュージックビデオやCMをYouTubeで見るのがすきで、その頃知った関根さんという人。

かっこよかったし、美術を知る人は絶対見たほうがいい。万博はそういう一面もあるのか、と少しお祭り騒ぎから目がさめる。
反原発への解釈は牽強付会だという批判が多くてそれは理解できる。岡本太郎が故人であり、3.11を経験していない以上、「太陽の塔」制作時点で「核」「放射能」への総合的な不安は持っていたとしても、「原発」という施設そのものへの切迫した危機感を果たして持っていたかどうか。作中で「核開発」と「原発施設」、両者が完全にイコールにされてしまっているのは自分も確かに疑問を感じる。

ただ、岡本太郎は「万博」という最大級の公のイベントの場でこの作品を発表する以上、後世の人々にどんな解釈をされてもいいよ、という覚悟は持っていたのではないだろうか。もしかしたらとんでもない誤解や批判をされるかもしれないということは、表現や思想の自由を信じるアーティストならば、承知の上だろう。今回、関根監督や出演者が「私はこのように考えた」と発表することを(それが人権侵害などに繋がっていない限りは)感情的に否定することは決してあってはならない。

でもまあ、とにかくそれぐらい人々の想像力を自由に掻き立てる何か得体の知れないすごい力が「太陽の塔」にはあって、「あなたについて知りたい!語りたい!」と思わせられる存在だということだろうか。

街並みや空などの映像の切り取り方、カット割りには、日本のドキュメンタリーではこれまでに観たことが無い美意識、先鋭さを感じた。また民俗学や密教とのつながりの考察などは、好奇心を存分に刺激される。関根監督が非凡な才能の持ち主であることは間違いない。
ぴー

ぴーの感想・評価

3.8
何だか太陽の塔の存在がずっと気になっていて、これは、と思って鑑賞。

太陽の塔って、何て恐ろしくて暖かくてかつ時代を超越した存在なんだ!!!と。

多くの方々が、太陽の塔・岡本太郎について語っていくんですが、どの内容も興味深かった。
ただ、鑑賞中にメモとっときたいほど情報量多すぎて、もう一回整理したい…

命を燃やして生きてるか?!
そう問われた気がします。
ICI

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4.4
めちゃくちゃ面白かった。(クソ長い感想)

 産業や宇宙開発などの技術発展がよりよい未来への必要条件であり、誰もが未来は明るいと信じていた時代に、それを真っ向から否定する訳のわからない巨像が高度経済成長期を代表する万国博覧会のど真ん中に建てられたという事実が面白すぎる...。
 今では当時建てられた未来的な建築物は跡形もなく取り壊され、当時の万博のテーマである『人類の進歩と調和』へのアンチテーゼであった太陽の塔のみが、大阪万博の象徴として残されているのも非常に皮肉的だと思った。
 映画の構成としては基本的には有識者やアーティスト等へのインタビューを繋げたものだが、だからといって散文的ではなく一つの強い軸を持って語られていると感じた。

 各人から見た岡本太郎や太陽の塔、当時の時代について語られていく中で、文化人類学や民俗学などの影響と共通点への言及があり、その中でチベット仏教と太陽の塔の関係性についての話があった。それは、チベット仏教の供物であるトルマと太陽の塔が酷似しており、またチベット仏教に限らず神に捧げられる供物の多くは、円錐型のような上に向かって細くなる形状をとっているというのものだった。それは太陽の塔が普遍的な存在であること、あるいは畏敬の念を抱かせる所以の一つなのかと非常に興味深かった。
 また太郎が曼荼羅として太陽の塔を作ったという話も面白かった。曼荼羅は宇宙を3次元的に捉えそれを2次元に表したもの、つまり過去未来現在が図として表現されている。つまり太郎はあの時代を表す為に太陽の塔を作ったのではなく、何万年前から現在を超えて何万年先までもをイメージしていたということを表している。(面白い)
 その他にもパリ在住の頃に民俗学に目覚め、師事した学者や哲学者からの影響についてや、自発的隷従論、また生物学者でありアーティストでもあった南方熊楠との共通点の示唆などもあまりよく知らなかったのでとても面白かった。とにかくこの映画をきっかけとして、一気に興味の幅を広げ、生き方について考えることができた。
 どう生きるかが芸術だと太郎は言っているが、まさに人生を使って己の強烈な哲学や、思想などを『物』として表現してきたというのが人の目から語られることでよりよくわかった。
そして60年前に作られた太陽の塔の意味について未だに多くの人が考え影響され続けているという事実が太陽の塔の意味なんじゃないだろうか。
kounosuke

kounosukeの感想・評価

4.8
生きてるだけで愛、が良かったから同監督の作品鑑賞。結果、えー!なんだこれ!とひたすらビックリして興奮した。いまの時代に必要なテーマを、太陽の塔を媒介にして多少無理くりにでも詰め込んだんだなという感じだけど、あえて太陽の塔だけをほりさげるんじゃなくてそれを岡本太郎を超えようとするくらいの情熱で語りかけてくる。なぜか涙でた。自分でもよくわからない涙出るってすごい。赤坂さんに興味もった。菅原小春すごい。
換気

換気の感想・評価

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インタビューの中で、太陽の塔を「異物感」と言ってる人がいたけど、まさしく太陽の塔を見たとき感じた異様な気配。
あの世にも奇妙な物体は、何を象徴してるのか。。が、各方面の学者やらクリエイターからのむつかしいコメントの数々によって、わかるようなわからんような。

あれは岡本太郎が人類に向けて贈った供物(くもつ)なのか。


以下備忘録(個人的解釈含む)
・科学や文明がいかに発達して社会が変容しても、人類は太古から変わらない
物理や数学がなかった頃でも、人類は世界や宇宙を知覚していた、
文明が変わっても人類そのものはずっと変わっていない

・人間は、その中に、太古から現在未来、そして粘菌から銀河系まで、あらゆるもの(時系列的に、物質的含めて)を内包している。
岡本太郎はそれを生命の樹として太陽の塔内部に曼荼羅を表現した

桁外れの想像力で、遥か遠い先祖〜未来の子孫までを見据えて芸術活動を行っていたということなのかな、岡本太郎

縄文時代の人々が縄文土器という、複雑でエネルギッシュな創造物を作っていたということ、太古から感情の表出として文化というものがあったことに、とても衝撃を覚えたし
当時の人々の精神世界にとても関心を覚えた
makineko

makinekoの感想・評価

3.8
太陽の塔の実物をまだ見たことがない。
民俗学者、赤坂憲雄さんの言葉が何度もささった。
それは超過去なのか、超未来なのか。荒野に屹立する〈太陽の塔〉。あるいは、高層ビルを睥睨する〈太陽の塔〉――そのイメージショットが素晴らしい。おずおずと塔の表面に触れる〈縄文の少女〉の姿は、『2001年宇宙の旅』でモノリスに手を差し出すヒトザルの姿に重なる。そして始まる、〈太陽の塔〉をめぐる精神旅行(インナートリップ)。

この映画を〈太陽の塔〉製作のドキュメント映画、かつてのNHK「プロジェクトX」みたいな映画だと思って映画を観に行った人が、内容にがっかりしたという話はよく耳にする。もっともな話だと思う。先に書いたように、この映画は〈太陽の塔〉製作者の岡本太郎の芸術観、精神世界を読み解くことを第一とする映画なのだから。

それにしても、誕生から50年近くたった〈太陽の塔〉に、これほど多くの人々がその人なりの異なったイメージを持っていることには驚かされた。3.11大震災による福島第一原発事故にまで話が及ぶことに、ふくらましすぎ、うがちすぎと批判があるようだが、万博のテーマ「人類の進歩と調和」への異議申し立て、科学技術に対抗する精神世界の具現化、縄文文化に代表される原日本人像への傾斜など、一貫した岡本太郎の姿勢を考えればそれもありなのかも知れない。

延々とインタビューが続くのだけれど、誰もの発言が知的刺激に満ちていて、パフォーマンスの映像と相まって2時間があっという間。狂言回しの〈縄文の少女〉も魅力的。

万博で訪れて以来、何度も足を運んだ〈太陽の塔〉は今年、閉鎖されていた内部が再整備され公開された。映画を観て、また訪れてみたくなった。
監督の関根光才、広告映像やミュージックビデオでは有名で、今作と「生きてるだけで、愛。」が、長編映画、初監督作。確かに、映像美を感じる印象強いショットが出てくる。冒頭の荒野に太陽の塔、そして大都会に太陽の塔。中盤での「明日の神話」の前で激しく踊る女性と絵画も観ず、ひたすら歩き続ける人々、等々。
だけど、本作はインタビューが中心で、岡本太郎の哲学や美術等について専門家が語る内容は、興味深いのもあるが、難しい語句の羅列もあって睡魔が襲ったが。それぞれの専門家が似たような考えを述べるのも、この監督に煽動されてるようで、気に食わない。
でも、前述した映像感覚は、センスのよさを感じるし、一見の価値は十分あり。
2moons

2moonsの感想・評価

4.5
本を読みたくなるし、旅に出たくなる。自発的隷属なんて認めたくないけど、現実なのだ。見えているか、見えていないか。