もっちゃん

闇の子供たちのもっちゃんのレビュー・感想・評価

闇の子供たち(2008年製作の映画)
3.8
タイにおける人身売買を扱った意欲作。社会派ドラマであるため、展開や演出が少し乗りづらいところがあり、オチへの持っていき方も雑だと感じたが、キャスト、特にタイの子役たちの演技が素晴らしい。

人身売買、児童売春といったタブー視されている部分に触れ、実際の過激な描写に挑戦している点はすごい。そんな中、「モノ」としての烙印を押されて、色を失った目で見据える子供たちの演技は迫真である。外国人たちの下衆な遊びの犠牲となり、ドラッグを注射され息絶える子供。病気になれば、生きたままごみ袋に入れられ捨てられる子供。もちろんフィクションではあるが、絶対にこういったことが起きていないということもいえないのが現実だろう。

さらに臓器移植という問題についても触れている。先進国の人間が生き残るために、途上国の人間の臓器を生きたまま抜き取るという構図。先進国の人間は途上国の人間の命を奪って息をし、血を巡らせ、生きながらえる。「臓器移植のグローバリゼーション」といったところか。

ただ、難しいのはそれを批判すると、「命の重さ」という極めて難解な問題に行きあたる。臓器移植で助かる人間の命と臓器提供を行う人間の命の重さには違いがあるのか。もちろん違法な臓器提供システムはあってはならないが、そこに一度活路を見出したクライアントの命を部外者が無下にすることが果たしてできるのだろうか。
宮崎あおい演じる恵子は確かに正論を言っているかもしれないが、彼女の言っていることは「彼女の正義」であって「皆の正義」ではない。問題の闇は思っているよりも深く、一筋縄でいくようなことではない。

もしかしたら、倫理を超えたところに答えがあるのかもしれない。搾取される命と助かる命。強い問題提起を含んだ良作である。