アァーーーーーー

退屈な日々にさようならをのアァーーーーーーのレビュー・感想・評価

退屈な日々にさようならを(2016年製作の映画)
4.2
これは危険だ。

世の中、特に東京という街は昔から夢を叶える為に上京し、挫折して帰る者もいれば、夢半ばで諦めつつ残る者、または別の道に活路を見出す者、歳を取っても捨てきれない夢を追い続ける者、もしくは精神が病んで自殺する者、犯罪を犯してしまう者、様々いるが、その大きな三角形の枠の中で上にのぼり詰める様な人間は徐々に面積が削れ少なくなっていく。

映画の前半はそのマザマザさに爆笑とも失笑とも違う、なんとも独特な感情で終始ニヤつきながら「ヤベーーー」つってグイグイ引き込まれて行ったのは、多分監督が「くだらねぇ」と中指を立てた様な実体験を、自分も実体験した通りにリアルに描く様に「いやーーーマジで気をつけよう」と頭を抱えながら自責の念を唱え続けるまでに至った映像表現に新しい感覚を覚えた。
役者においても有名な人は出ていないし演技が上手いとも言えないが、台詞の言い回しやタイミングもちょっとズレればお寒い事この上なくなりそうなギリギリのラインでリアリティ側に寄る。
登場人物と配置にも練られた脚本の素晴らしさも感じる。カメラワークも無駄がなく見事。
が、
個人的には中盤から長ーく展開して、この映画で伝えたい事が集約する登場人物ジロウのストーリーと死に対するテーマが暗くて重くてキツかった。

あとは妹が殺した方のストーリー展開が回収されなかったのが心残り。

なんとなーく全体的にミヒャエルハネケを感じる。
アァーーーーーー

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