たった70年前なのに、精神疾患がどう捉えられていたのか。
「治療、悪いものを治す」という固定観念のなか、作業療法が「患者を遊ばせる」「なんの成果も出せない」と軽んじられ、医師でなく看護師の担当になっていた現実に驚いた。
そのなかで、ニーゼ医師がどのように奮闘したかが、本当に控えめに丁寧に描かれていた。
1つ1つのセリフが深くて、「観察が必要。彼らの声に耳を傾けて」とか、「精神にも治癒能力がある」とか、作業療法の、というか人と向き合うすべての職業に当てはまる名言がたくさん。
主演の女優さんはじめ、患者さんたちひとりひとりもすごい演技力。
僕は、さりげなく描かれる男性看護師の変化していく様子に心が温かくなる。
ドキュメンタリー出身という監督の、綿密な取材に裏打ちされた演出も良かった。