Emma

アマンダ・ノックスのEmmaのレビュー・感想・評価

アマンダ・ノックス(2016年製作の映画)
4.5
イタリアで英国人留学生が殺害された、「ペルージャ英国人留学生殺害事件」のドキュメンタリー。

乱交を強要し拒否されたことに激昂したアマンダノックスとその恋人ラフェエレ、コートジボワール人の男の計3人が被害者メレディス・カーチャーを残虐に殺害した犯人として世界的にもセンセーショナルに報道されました。

結局アマンダとラファエレの無罪が証明されましたが、4年もの時間をアマンダたちはイタリアの刑務所で過ごすことなります。(コートジボワール人の男はいまも服役中だが、彼も無罪を訴えているそう。真実は闇の中)

イタリア現地警察によるあまりにもずさんな捜査、その背景にある早く犯人を見つけなければというマスコミからのプレッシャー、加熱する報道。

このドキュメンタリーでは当事者たちが出演し、自分たちの言葉でカメラに向かって当時の事実を語ります。

アマンダとラファエルは無罪になったものの、いまでも彼らを犯人扱いする人たちもいて、二度と同じ人生を歩けなくなってしまった2人の現在の姿には胸が痛みます。

このドキュメンタリーを見た人はだいたいみんな思うことですが、私も、アマンダたちは犯人ではないような気がしました。なるべく公平に見たとしても、やはりDNA捜査の信憑性の低さや、取り調べの様子からも典型的な冤罪という印象を受けました。

腹立たしかったのは当時、コートジボワール人の男よりも、被害者と同じ寮生で、美人なアメリカ人留学生のアマンダを犯人扱いするほうがよりセンセーショナルだからと分かった上で、まだ20歳だった彼女の過去の性体験の人数や、牢獄で記した個人的な日記まで全てをメディアに垂れ流した記者。

彼は今となっても警察のずさんな操作が悪いと言っているけれど、この人たちの報道によって壊されたものはあまりにも大きいという自覚を全く感じられなかった。

世の中には真剣にジャーナリズムを追求する人たちも勿論いて、その人たちのおかげで真実が暴かれ、正義がもたらされるケースも沢山あるけど、こういう一部の輩のせいでマスコミはマスゴミと、呼ばれたんだと思う。

事実確認もそこそこに、他社より早く特ダネを出すことに必死になって、一面に自分の名前がのったときは”性交よりも気持ちよかった”と回顧する記者の姿には、おぞましささえ覚えた💔ああ、このひとジャーナリストでもなんでもない、ただの野次馬だ、なんも悪びれてないんだ、と。


ずさんな捜査と威圧的な取り調べでアマンダたちを犯人にした警察も、いまだに彼女たちを犯人だと信じてるし、もうなにがなんだか…という感じ。

亡くなられたメレディスのお母さんの憔悴しきった様子にとても胸が痛かった。こんな事件、二度と起きてほしくない。
Emma

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