ダルマパワー

合唱のダルマパワーのネタバレレビュー・内容・結末

合唱(2015年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

カットの繋ぎがとてもスムーズで、まるでそこにいるかのような心地よさで見れました。色味も落ち着いていて、日本の秋の稲穂を思わせる、黄金色のようで、けど派手でない、その中にヨーロッパらしいカラフルな差し色が入り、洗練された慎ましい美しさがありました。

カメラはあまり手振れを出すのが好きでない、とのことで、三脚の置き方に工夫を入れて撮影されたとのこと。

カメラ自体の動きも少なく、とても落ち着いた印象がありました。

一方でカットは比較的短く、テンポよく流れていて映像に飽きが来ませんでした。

見ていると、節々に子供達の表情が差し込まれ、会話などは後ろでカットで切らずに流しつつも、心理描写を覗ける事で、今どんな気持ちでいるのかが想像しやすかったです。

20分強の短い時間のなかでも、物語における人間関係の構図や、メインの登場人物の性格が理解でき、映像やストーリーに変なノイズがなく、感情移入がよくできました。

シンプルで中身のつまった作品でした。

押さえつける大人と、反発する子供、の構図は最近見る映画でよく目につくけど、本作はよりリアリズムな作品で、だからこそ、か弱く無力な子供達があの舞台で大人に立ち向かったという姿にインパクトを受け、胸が高鳴る想いに至りました。

冒頭での先生の一言の切れ味が鋭く、あれで一気に物語に引き込まれたように思います。

巧みの構成でした。
ダルマパワー

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