松島百景

追憶の松島百景のレビュー・感想・評価

追憶(2015年製作の映画)
3.2
南太平洋のパラオ諸島に浮かぶペリリュー島。第二次世界大戦中のこの島で70日に及ぶ激戦、日本軍、米国軍合せて1万を超す命がこの地に散った事実を、美しい自然と豊富な資料映像と証言で綴る。

とにかく資料映像の量が半端ない。もうそれだけで一見の価値がある。ひたすら戦火の悲惨さを当時のフィルムで畳み掛ける演出。

11月1日の毎日新聞に載っていた小栗監督のインタビューによれば、監督は「今の若い人は、戦争は年寄りがやるものと思っている。そこが怖い」と語っていた。確かに資料映像に出てくる兵士は全て若者だ。しかし感受性の低い私みたいな人間には、証言者がみんな90歳を超えていて達者でない語り口から、戦争はずいぶん昔の話なんだなという遠い存在にしか思えなかった。

戦争は遠い話ではない。今も行われている。

本当は考えなきゃいけないことだ。でもこの映画を見に来ていたほとんどは年配者で、若い世代に警鐘を鳴らすには別の方法が必要なんだとしみじみ思ってしまいました。

(2016.11.6. 東京都写真美術館にて鑑賞)
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