くう

残像のくうのレビュー・感想・評価

残像(2016年製作の映画)
3.9
昨年亡くなったアンジェイ・ワイダ監督90歳の遺作。

ご年齢のこともあって監督の作品は前作『ワレサ 連帯の男』が最後かなぁと思っていた。

描き続けてきたポーランドレジスタンス運動の集大成のように見えたので。今回は巻き戻して権力に虐げられて芸術を失う人を描く。

ソビエト連邦の監視下にあるポーランドでは、物言う自由な芸術が許されず、あくまでもそれを貫こうとする老画家は地位も生活も奪われる。

折れてしまうのは簡単だろうけれども、それが出来ない人は死ぬしかなかった。何より言葉と心を殺される。

『連帯の男』が最期の言葉にならなかった意味を考えると、現代もそういう危機は確かにあるなと。先日可決されたあの法案のことを思い浮かべる。

言葉も思想も監視される状態になればこういう最期を迎えると。
遺言を受けた気がする。