次男

At the terrace テラスにての次男のレビュー・感想・評価

At the terrace テラスにて(2016年製作の映画)
3.7
絶品会話劇、「目が離せない!」っていうより、後ろの席のカップルとかの会話を盗み聞きてしまってる感じの。一緒にいるひとが喋ってるのにそっちを聞かず、後ろの会話ばっかり聞き耳たてちゃうのあれなんだろうね。電車内の通話が禁止なのは、ペースメーカーへの影響とかじゃなくて、電話の片方だけの断片的会話じゃ全貌わからなくてイライラちゃうからってあれほんとなのかね。

夜中にひとりでこそこそと見ることがあまりにマッチしていて、逆に笑うとかもなく、じーっと見てた。衆人環境で見てたらパフォーマンス的に笑ったりしてたかもけど、遠慮なくじーっと見てやった。

7人の会話劇、「これは人生だ」とか「これは人間関係のすべてだ」とか拡大解釈はいくらでも口八丁できそうだけど、そんな大きな話にしたくないなあ、僕が見ていたのは高尚な縮図でもなんでもなくてただただ下世話な覗き映像、だと認めます。僕は品定めとかカテゴライズとかしたし、こいつには勝ったなとかこいつはここがなあとか、あとエロいことも考えたし、だからそんな僕もこの場にいたと言ってもいいのかも。

◆◆

にしても、舞台の映像化は難しいなあ。この作品でこの題材で、舞台に勝ててる気がしない。舞台ならもっと下世話でもっと生々しくてもっと当事者でいられただろうなあ。視点を強要されるカット文化がうるさかったし、誰に尾けるでもなくパンしたときは言いようもなく気持ち悪かったし。テラスという場所も、撮り口が決まってるからどうしたって舞台っぽくなるもんなあ。むしろ舞台っぽさも敢えて残してる感じもあるし。

まあでも、あくまで全世界への供給システムと割り切ろう。現に僕は舞台を観れていなくて、映像化のおかげで味わうことができたんだし、ありがとうございます。
次男

次男