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ジョルスン物語のみおこしのレビュー・感想・評価

ジョルスン物語(1946年製作の映画)
3.4
世界初のトーキー映画として知られる『ジャズ・シンガー』の主演を務めた俳優アル・ジョルスン。エンターテイナーとしての彼の波乱の半生を描いた伝記ミュージカル映画。

アメリカの現代文化史を紐解いても、1920年代に流行したいくつものポピュラーソングの歌い手として名高いジョルスン。日本ではあまり知名度は高くないですが、「スワニー」や「マミー」など、今もどこかで耳にしたことのある名曲を歌い、彼が亡くなった際はブロードウェイ中が10分間消灯して彼に黙祷を捧げたという逸話もあるほど、アメリカを代表する歌手だったとのこと。リトアニア出身のユダヤ人という出自ながら、世界的大スターとして名を馳せた彼ですが、当時の彼の一番の人気パフォーマンスは、白人が黒人に扮するミンストレル・ショーだったこともあり、人種差別的な点が懸念される今となってはあまりスポットライトが当たらない存在になってしまったようです。本作でもミンストレル・ショーのシーンが登場しましたが、確かに2019年の今鑑賞すると何とも複雑の極みでした...。

本作では、俳優ラリー・パークスが、そんなジョルスン役を演じています。(モデルにする本人がバリバリ現役の頃に作られた伝記映画だと思うと、かなり珍しい気が!歌唱もジョルスン本人によるものらしい)パークスのなりきりぶりは本当に見事だし、軽快なステップを踏んで見せてくれるダンスシーンも素晴らしいのですが、後年赤狩りに追われてしまったようで、本作が最初で最後の代表作というのが何だか切ない...。
他のキャストとしては、『風と共に去りぬ』でスカーレットの妹スエレンを演じたイヴリン・キースが、めちゃめちゃ気の強いジョルスンの妻ルビー・キーラーに扮していました。

すごく微妙なところで終わるのであれ?と思ったら、さらにこのあと『ジョルスン再び歌う』という続編が存在するのですね。そちらも観なくては!
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