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浮き草たちのとぽとぽのレビュー・感想・評価

浮き草たち(2016年製作の映画)
4.0
スリリングというよりスイートでチャーミング、まるで一時の魔法。所在無さげに青く甘酸っぱく生き急いで駆け抜けてく、その道すがらたまたま共鳴した二つの破れかぶれな魂。離れた場所からの長回しと口喧嘩・些細な会話シーン、時おりの小粋な選曲、そのどれもが最高でただでさえ短い尺が更にあっという間。昼下がりに見たくなるような優しさと温かな眼差しに彩られ満ちている。取引の実行犯として片棒を担ぐことになる主演二人の若々しさ、初さ、真っ直ぐな視線や気持ちやその時々のあたふた、そして一瞬を切り取るようなポートレート的煌めきが瞼の裏に残り永遠に刻まれ、顔が綻ぶよう。時にむず痒く居心地悪かったり小粋だったりする、何気ない会話の節々から二人の人物がしっかりと見えてきて、決して画面も時間も必死て埋めるでもない余裕のある作りなのに二人に不思議なほど愛着を覚えてしまうような魅力に溢れている。無理やり作品の"余白"を埋めようとしない自然体な形に好感、好きにならずにいられない。恋する初期衝動が詰まってる。繊細でいて大胆、ロマコメの可能性を押し広げるような新境地。この笑いはオフビートというのとはまた違う気がするけどインディーズ的ではあり、つまりアイデアが優れていて本当に何気なくスマート。古今東西使い古されてきたボーイミーツガールの新時代、なのにどこか懐かしく感じるような普遍性を兼ね備えた最高の共犯協力関係に見惚れる。タイトルからして最高すぎると思っていて、再生したら「いい感じ」、真ん中らへんで「これ絶対おれの好きなやつ」と確信して、終盤で「超好き!大切かも」とガッツポーズした。純粋に波長が合ったというのもあるけど、良く出来ていることに驚く新鮮さ。それはNetflixに入ってるからこその思いがけない発見、喜び。冒頭からはこれは正直期待していなかったし出来なかった、それくらい予期せず心地よかった。月並みな表現で、回り道かもしれないけど本当の自分達に出会うまでの道程。
I wanna come with you.
Do you still wanna come? I still wanna come.
「私たち今から始めない?」「俺もここから始めるよ」「ええ、私も」
勝手に関連作『このサイテーな世界の終わり』『ビフォア・サンライズ』『ロストイントランスレーション』
勝手にサントラ♪Born To Run
TOMATOMETER95% AUDIENCE71
Sweet, breezy, and unexpected, Tramps traipses through its romcom premise with earnestness and ease.
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