逆鱗

ジャドヴィル包囲戦 6日間の戦いの逆鱗のレビュー・感想・評価

3.6
たった150名で三方解放された無防備な拠点を数千の傭兵から守り抜く6日間!
なんで援軍要請しても断られるのか、映画の中の主人公だけでなく、観ているこっちにもわかるようなシーンはなく、主人公と同じように憤りがたぎる!

実際に起きたコンゴ内戦への国連介入の話。
内戦と言いつつこの時代にあるあるの実は、米ソの代理戦争の様相を呈しているようで、アイルランドの指揮官も大局から大戦になるのを避けようとしている様子はわかるのだが、そこの具体的なことは映画では語られないため、なんだが150名でが捨て石にされるようで、ただただ腹が立つ。
現場の中隊長と同じ気持ちになる。

実際にポーンを助けるのにクイーンは使わない。奴らはポーンだという発言がある。
ブラックホークダウンの90年代米軍は、兵士が1人でも取り残されていれば、助け出そうとする様子が窺える。
助け出そうとして何人も犠牲になるのだが、見捨てないということが軍への忠誠心を揺るぎないものにすると思った。
(綺麗事ばかりではなく、見捨てられた兵士もたくさんいるとは思うが…)

この映画のアイルランド軍司令部は、現場の150名を平気で見捨て、挙句に無線にも応じない始末。

結果、弾薬も尽き果て150名は降伏、1ヶ月くらい拘束されるのだが、奇跡的に死者は0人。でも、政府はこの事実を闇に葬り、150名は母国で肩身の狭い思いをするという酷さ。
やっと、およそ40年後の2005年に誉を称えられるという遅さ。

以下蛇足。
以上のような、現場の150名の気持ちを考えると腹わたが煮えくりかえるような物語なのだが、なぜかそこが弱い。
戦っても戦っても敵が沸いてくる絶望感や、だんだんと弾薬も尽き果て、とうとう死を覚悟するしかないのかという諦念も弱い。
攻めてくる敵の数が多くなったり、敵の武器の質も重火器や飛行機が来たりと、演出はそれなりにあるのだが、どうしてだろうか??

ブラックホークダウンは、墜落したヘリの中のケガしたパイロットと2名の兵士だけで、迫りくる暴徒と戦う絶望感と最後まで諦めない気持ちが伝わった。
プライベートライアンは、敵の圧倒的な火力の前の絶対絶命の死の淵で、一発逆転の橋の爆破にカタルシスを感じた。

この作品からも何か感情的なメッセージを得られると思ったのだが、期待外れであった。
最後に上官を殴り、仲間が敬礼で迎えたところが少し溜飲が下がったくらいである。

映画としての点数は正直3点というところであるが、戦争という実話ベースなことに敬意を表して平均点と同点とした。
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