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タリーと私の秘密の時間のYOUのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.8
ジェイソン・ライトマンが監督を務めた、2018年公開のヒューマン・ドラマ。
3度目となるジェイソン・ライトマン監督×ディアブロ・コーディ脚本作品である本作では、育児に追われる主婦マーロが若いベビーシッター・タリーの登場によって徐々に心のゆとりを取り戻していく様子が描かれます。前2作に続き「大きな壁に直面した女性主人公が世間の価値観に翻弄されながらも懸命にもがく姿」を捉えていますが、同時に本作は前2作とは明らかに一線を画す作品にもなっています。私が思うに今回の「第3子を出産し育児疲れやストレスが限界に達した主人公の苦悩・葛藤」という話はある意味『JUNO/ジュノ』の延長線上にあり、それは同時に『ヤング≒アダルト』とは対極に位置する作品です。つまり本作は”『JUNO/ジュノ』『ヤング≒アダルト』両作に対するアンサー作品”となっており、むしろこれまで以上に広く長い射程を持った作品に仕上がっています。加えて過去作と大きく異なる部分と言えばやはり「終盤で明らかになる”とある大仕掛け”」ですよね。ただこの仕掛けをディアブロ・コーディが単にギミックとして用いる訳もなく、この真相が明らかになった途端に本作のテーマ性及びディアブロ・コーディの作家性が一瞬にして浮上します。これぞ巧みな脚本!

そして何より本作の物語はシャーリーズ・セロンの演技と役作りなくしては到底成立するものではありません。撮影にあたって18kgも増量したという物理的なギャップもさる事ながら、改めて驚かされるのはその演技幅ですよね。特に私は『ヤング≒アダルト』と連続で鑑賞したので、顔付きから佇まいまでが全くの別人!それでいてワイスピやMARVELにもしっかり出てくれるんだから、こりゃますます支持したくなっちゃうよなぁ。またジェイソン・ライトマンの「話の全てを畳み切らない」という独特の幕引きも引き続きですが、これも劇中で語られるテーマとは不可分なものだと思います。「話を畳み切れていない」という不備ではなく「必ずしも話を畳み切る必要性はない/畳み切るべきではない」という喚起であり、当然鑑賞後も思考を促され続けました。毎回人生の局面に立たされた主人公を捉え、尚且つその答えを観客に委ねて幕を引くジェイソン・ライトマン作品は当然鑑賞する時期や状況によって評価が大きく変動するでしょうし、やはりどの作品も「10年経ったらまた観てみたい」と思えてしまいます。特に『マイレージ、マイライフ』と本作は今からソフトを確保しておきたい!10年後にまた会おう!





























































































































10年後かぁ、独身貫いてんだろうなぁ…
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