とえ

タリーと私の秘密の時間のとえのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
4.0
気軽に楽しめる作品で、笑いあり、共感するところあり、考えさせられるところありで、シャーリーズ・セロンはやっぱり良いなぁと思った映画だった

主婦のマーロ(シャーリーズ・セロン)には小学生の子供が2人いて、3人目が生まれたばかり
夫は仕事と自分のことで手一杯で、子育てを手伝わない
そんなマーロを見かねた富豪の兄は、マーロに子守りのタリーをプレゼントするのだが…というお話

私の周りでは、7月になって夏休みに入ると、主婦の友人たちから「地獄の夏休み」という悲鳴が聞こえてくる
学校が休みになると、彼女たちの仕事が増えるからだ

私はこの映画を観ながら、そんな彼女たちのことを思った

ちゃんと子育てしたつもりでいても、子供は思うように育たず、学校からは「落ち着きがないから、なんとかしてくれ」と苦情を言われてしまう

生まれたばかりの赤ん坊には、夜中に何度も起こされて寝る暇もない

かと言って、子守りを雇って自分の子供を他人に見てもらうのは、なんだか気が引けてしまう

つまり、真面目であればあるほど、完璧にこなそうとすればするほど、主婦業は大変であり、どんどん精神的に追い込まれてしまう

そこで登場するのが、子守りのタリーだ

初めは子守りに難色を示していたタリーも
「兄のプレゼントだから」と、家に来たタリーをしぶしぶ受け入れるが、そのうちタリーがいなくてはいられないようになっていく

若くてキラキラ輝くタリーは、マーロの生活に新しい風を送り込み、マーロは女性としての輝きを少しずつ取り戻していく

マーロがタリーと出会って思い出したのは「若かりし頃の自分」だ
夢をと希望にあふれ、ボーイフレンドたちを夢中にさせ、時にはルームメイトとケンカした日もあったし、嫌なことがあった日は一晩中飲み明かしたい時もあった

忙しい日々に追われ、あの頃の自分をどこかに置き忘れてしまったことに、マーロは気付いたのだ

そこから、マーロはかつての自分を取り戻す努力をはじめる

彼女自身が変わろうとすることで、家族の彼女を見る目も変わっていく

そんなマーロとタリーの関係を見ていて思うのは
完璧な主婦を目指してはいけない
時には自分自身をケアして、他人に頼れるところは積極的に頼り、
子育てと家事には家族のサポートが絶対に必要ということ

子供たちだって、いつも忙しくてイライラしているお母さんよりも
キレイで楽しいお母さんが良いに決まっている

だからこそ、お母さんの心にゆとりができるような環境作りが大切なのだ

この映画は、忙しい主婦の気持ちを代弁してくれるものになっているけれど
「子育ても、家事も妻に任せきり」という旦那さまたちにこそ観て欲しい作品だった

ぜひ、この夏休みは、半日だけでも誰かに子守りを頼んで、できれば夫婦で観て欲しい作品である
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