ノラネコの呑んで観るシネマ

タリーと私の秘密の時間のノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
4.4
ディアブロ・コディとジェイソン・ライトマンの名コンビ三度。
シャーリーズ・セロン演じるマーロは、自分に厳しく完璧な母親でありたいと奮闘するも、発達障害の長男を抱え、3人目の次女の出産・育児で遂にギブアップ、夜間ベビーシッターのタリーを雇う。
毎夜10時半にやって来て、夜明けと共に姿を消すタリーの助けによって、マーロは心の余裕を取り戻してゆく。
だが一見奔放な若者で、完璧に仕事をこなし悩み相談にも乗ってくれるタリーは一体何者なのか?というミステリには中盤辺りから徐々にヒントが出てくる。
疲れ切った母ちゃんに成り切るために18キロ増量したというシャーリーズ・セロンが相変わらず素晴らしいのだが、ここまでデブになっても美しさは隠せない。
頑張りすぎて自分を追い込んでしまう女性をリアリティたっぷりに演じて、大いに共感できるキャラクター。
終盤のある事件によって、欠けていたミッシングパーツが現れ、パズルの全体像が浮かび上がるストーリーテリングのカタルシス。
子育て中のお母さんだけでなく、色々分かってない男も含めて、誰にもなんらかの“気付き”を与えてくれる、詩的で優れた寓話だ。
しかし「未来のミライ」「インクレディブル・ファミリー」と、この夏はやたらと子育てモチーフの映画が多いな。
それぞれのアプローチの違いが面白い。
ブログ記事:
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