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タリーと私の秘密の時間のSPNminacoのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
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2人の幼児と赤ん坊の育児に精一杯勤しむ母親の容赦ない日常。ボサボサの髪、疲れ切って虚ろな目、艶のない肌、弛みきったお肉、痛むおっぱい、冷凍ピザを前に生気なくボロボロに擦り切れた姿たるや。端端から本来マーロは聡明で魅力的な人だとわかるのだが、結婚前の自分なんか遠い昔…とすっかり自虐。夫や周囲の人も何の助けにもならねえと諦めてる。そんなママの精神的肉体的しんどさがシャーリーズ・セロンのギャップと併せて、とても生々しい。
そこへ現れた救世主、夜の子守タリー。至れり尽くせりな彼女のおかげでマーロは心の余裕を取り戻していく。だがメリー・ポピンズの魔法がやがて解ける時、まさかの秘密にゾッとした。そもそも最初から暗く不穏なトーンだったが、マーメイドにしろファンタジーになり得るはずのことがまるでホラー。
それでもマーロは人生を後悔してる訳じゃないし、夫を責めもしない(ゲームしてるのを見たらブチ切れそうなものだけど)。必要なのは「こうでなければ」という呪縛からの解放。変化と折り合いをつけるための時間、サポートとセルフケア、そして睡眠。“I love us”って言葉はたぶん、失ったタリーと今のマーロ両方のことでもある。これもある意味シスターフッドかも。懐メロのメドレーで時間を省略するドライヴシーンがよかった。