いしはらしんすけ

タリーと私の秘密の時間のいしはらしんすけのレビュー・感想・評価

タリーと私の秘密の時間(2018年製作の映画)
3.8
「ヤング≒アダルト」からの流れから、監督・脚本・主演を同じくするこちらを。

バキバキに仕上がった「アトミック・ブロンド」から一転、シャーリーズ・セロン様が、出産前後のわがままボディを作り込んだ、いわゆる「デニーロ・アプローチ」の体現も話題となった本作。

序盤はホーム気まずコメディが割とゆったりと展開されるが、マッケンジー・デイヴィス演じるタリーの登場から、いい意味でどう転ぶのかわからない、不穏とまではいかないが微妙に不安定なムードが通低音として流れ始める。

そして訪れるクライマックスでのカタストロフ。明かされてみるとある意味使い古された手法だし、先例はいくらもありそうだが、テーマ設定の普遍性と強度が盤石なため、やっぱめちゃめちゃ効く訳よ。

あんまジャストな例を挙げるとネタバレになる...と言いつつ、映画知識が貧困なもんでそんなのパッとは思い浮かばないんですが、チラッと掠めたのは「パーマネント野ばら」とかね(これもギリな例えか?)。

それまでの役柄やパブリックイメージとは乖離したくたびれ主婦を演じるシャーリーズ・セロンの熱演は勿論、作品自体はアレだったが「ターミネーター:ニューフェイト」でも存在感を発揮していたマッケンジー・デイヴィスもフレッシュな魅力を横溢。

ミニマルで表面は低温、でも芯には熱い心情やメッセージを持つ「お母さんを大事にしよう」映画です。