ふう

グッバイ・クリストファー・ロビンのふうのレビュー・感想・評価

4.7
ブルーが、ビリー・ムーンと森を散策するなかで、「雪の中で狩りをしよう」と言ったあと、あったかな陽気から雪景色へと変わるシーン。ブルーがビリー・ムーンの世界(子どもしか届かない世界)に入った瞬間の輝き、ブルーの表情は人生ベスト級の名シーンでした。

戦争のPTSDを背負って生きる彼が自分の子どもとまっすぐ向き合い、ビリーも彼のトラウマを支えようとする姿は本当に人生で一番愛すべき時間だと思います。

蝿の音で戦争を思い出すと、「ハチがはちみつを作るんだよ」と
雪合戦から爆弾を思い出してしまいビリーにつかみかかってしまうと「もう夏になった方がいいね」と、雪が舞い上がっていく
あんなに恐ろしかった風船も自分で割れるようになる
そのトラウマを産み出していたものたち全てが幸せの象徴となって『くまのプーさん』の物語となっていく…。

小さな想像力と優しさが支えになる、それはかけがえのない素晴らしいことだと私は思っています。それを映画として追体験させてくれたことに何よりも感謝です。

余談ですが、私は、小さい頃のトラウマでいまだに風船が怖いです。人生で一番怖いものかもしれません。
でも今は、私の中の大人になれない部分として大切にしています。こわいけど。
私のこれは悪夢ですけど、そういう「子どもの頃からずっと大切にしている自分だけの引き出し」は生きていく上でかかせないものだと信じています。
ふう

ふう