kirito

7分間のkiritoのレビュー・感想・評価

7分間(2016年製作の映画)
4.1
【尊厳】

まず、なぜ7分間という題名なのか。
これは絶ーーーーー対に前情報を入れずに見るべきだと思います。
この映画はそこの部分にかなり気を使っていて、7分間の意味を明らかにする瞬間に『うわっ!そういうことか』とさせてくれます。

2012年に実際にフランスで起きた事件がベースになっています。
ある工場が買収され、閉鎖の危機が訪れます。
そこで、11人の女性労働者からなる工場委員会はどんな決断を下すのか…
という室内劇です。


感覚的に雰囲気はかなり『十二人の怒れる男』に似ていると思います。
あんな感じで議論が白熱していくイメージです。
あの手の映画が好きな人は好きなんじゃないかなと思います。


さて、どこまでベースにしてるのかわかりませんが、11人の女性達が個性的で覚えやすいのも好印象。
そして、この11人にはそれぞれ抱えてる問題や背景があって、それゆえに議論が錯綜していきます。


最近は電通の問題など、日本でも労働問題は他人事ではありません。
勝つ者はいつまでも勝ち、負ける者はいつまでも搾取され続ける。
その端的な構図がこの映画にも出来上がっていて、11人の労働者と雇い主側の考えてることや行動が違うことにも注目してみると面白いです。

特に雇い主側のランチタイムは必見。
同じ人間なのにどうしてこうなってしまうのか…
あのピザ食べたすぎるw


とにかく室内劇なので細かい演出に優れている印象でした。
キーとなる『手紙』の渡し方、『手紙』の内容が明らかになるとこなど素晴らしかったと思います。

キャストは勿論知らない方ばかりでしたけど、どの人も印象に残るくらい素晴らしい演技でした!感動!

これは本当に個人的にはですが、今年公開映画ランキングトップ10入り候補になるくらいの傑作映画でした。

2016.10.26
kirito

kirito