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オリエント急行殺人事件のkatsuのレビュー・感想・評価

オリエント急行殺人事件(2017年製作の映画)
3.7
この冬、あなたを”世界一の名探偵”が豪華列車での謎解きの旅にご招待!


”ミステリーの女王”と呼ばれるイギリスの女流作家アガサクリスティーの代表作の一つ「オリエント急行殺人事件」を、「シンデレラ」「マイティソー」のケネスブラナー監督が担当し、自ら主人公の名探偵エルキュールポアロを演じた密室ミステリー。

出演者はオールスターというべき豪華さ!
前述した通りシェイクスピア俳優として舞台でも活躍し代表作に「ハリーポッターと秘密の部屋」「マリリン 7日間の旅」「ダンケルク」などがある名優ケネスブラナーが名探偵ポアロに扮し、「パイレーツオブカリビアン」のジョニーデップをはじめ、「スターウォーズ」のデイジーリドリー、「悪の法則」のペネロペクルズ、「007」のジュディーデンチ、「スパイダーマン」のウィレムデフォー、「ダークシャドウ」のミシェルファイファー、「アナと雪の女王」「美女と野獣」のジョシュギャッド、「グラディエーター」のデレクジャコビらが顔を揃えている。

プロデューサーのマークゴードンとサイモンキンバーグは当初、別々に映画化権を取得しようとしていたが、最終的には共同で一つの作品に取り組むことになった。
原作をアップデートして脚色したのはクリスティーファンで「ローガン」「ブレードランナー2049」のマイケルグリーン。
彼とは長年コラボレートしているリドリースコットも製作陣に加わっている。
作曲家には「ハリーポッターと炎のゴブレット」「マイティソー」「メリダとおそろしの森」「シンデレラ」のパトリックドイル。
衣装には「アベンジャーズ」「ドクターストレンジ」のオスカー受賞アレクサンドラバーンが担当。

さらに、クリスティーのひ孫で、クリスティーの著作の管理をしているアガサクリスティーリミテッドの会長でもあるジェームズプリチャードも製作総指揮で参加している。

《STORY》

エルサレムでの盗難事件を鮮やかに解決した名探偵エルキュールポアロは、イスタンブールで休暇を取ろうとしたが、イギリスでの事件の解決を依頼され、急遽オリエント急行でイギリスに向かう。

出発したオリエント急行でくつろぐポアロに話しかけてきたのはアメリカ人富豪のラチェット。
彼は脅迫を受けているのでポアロに身辺警護を頼みたいというが、あっさりとポアロはその依頼を断わってしまう。

その深夜、列車は雪崩のため脱線事故を起こし、山腹の高架橋で立ち往生してしまう。
そして車内で起こった殺人事件。
ラチェットが刺殺死体で発見されたのだ。
乗り合わせていた医師のアーバスノットは死亡時刻を深夜0時から2時の間だと断定する。

ポアロは乗客に話を聞き始め、ラチェットの隣室だった未亡人のハバードが、『自分の 部屋に男が忍び込んだ』と訴えるなど、様々な事実が明らかになる。
しかし、乗客全員にアリバイがあることも判明した。

ラチェットの部屋から発見された手紙の燃えかすから、かつて彼がある誘拐事件にかかわっていた事実が分かる。
誘拐殺人犯のラチェットが、復讐のために殺されたのか?
犯人は乗客の中にいるのか?
果たしてポアロは見事犯人を突き止められるのだろうか。

《COLUMN》

❶実物大の列車の製作

この映画は65mmのカメラで撮影されているが、器材が大型のため実際のオリエント急行の車内で撮影することは不可能だった。
そこでスイスに現存する唯一の”484列車”を基に、重量25トンにも及ぶオリエント急行の機関車、客車、食堂車、サロンカーなどが実際に製作されたのだ。

❷原作者アガサクリスティー

1890年、イギリスのデボン州トーキー生まれ。
コナンドイルのシャーロックホームズに夢中になり、自分でも小説を書き始める。
1914年、24歳でイギリス航空隊のアーチボルドクリスティーと結婚。
1920年にポアロ物の長編「スタイルズ荘の怪事件」で作家デビュー。
たちまち人気作家となり、「そして誰もいなくなった」をはじめ、1976年に亡くなるまでに長編、短編、戯曲など100作以上を執筆。
これまでの総発行部数はイギリスだけで10億冊、世界では20億冊以上といわれている。
その功績によって大英帝国勲章を2度授与された。

《新要素満載》

❶スマートでスタイリッシュなポアロ

原作では身長160cmほどで小柄な印象だったポアロだが、ブラナーが演じることでスマートかつスタイリッシュな名探偵に。
列車内での推理だけでなく列車の外にまで出るなど、アクティブに捜査。
体を張ったアクションも見せてくれる!

❷列車の外も舞台に…壮大なスケールへ

原作はオリエント急行の中だけが舞台だったが、今回は列車の外にまで飛び出して物語が展開。
ポアロが列車の屋根の上を歩いたり、激しい追走劇があったりと、迫力のシーンが満載。
さらにクライマックスは、驚きのシチュエーションで謎解きが繰り広げられる…!

❸原作にはなかったオリジナル要素

今作では、イスタンブールで鮮やかに事件を解決するポアロの活躍や、駅での乗客たちとのやり取り、列車外でのシーンなど、原作にはなかった要素が新たに追加。
原作の世界観はそのままに、より映像として楽しめる演出が加えられている!

〈キーワード〉

★怪しい悲鳴

ポアロはラチェットが殺されたと思われる深夜、悲鳴に近い大声を聞いていた。
その直後、車掌がラチェットの部屋を訪れた時には「なんでもない」との返事があったが……

★手紙の燃えカス

ラチェットの部屋には手紙の燃えカスが残されていて、そこから”デイジー”という名前が見つかった。
同名の人物は乗客にはいないが、この名前が意味しているのは?

★12ヶ所の刺し傷

ラチェットの死体には、なぜか12ヶ所も刺し傷があった。
すべてでたらめに刺したような傷からは、犯行の冷静さは感じられない。
彼はそれほど恨まれていたのか?

《最後に……》

シャーロックホームズらと並んで、世界的な人気を誇っているポアロ。
数々の難事件を”灰色の脳細胞”と称される頭脳や、独自の人間観察力と捜査術で鮮やかに解決。
ベルギー出身の彼は丁寧に整えられた口髭などインパクト大の外見。
ユーモア溢れる言動も特徴の”愛されキャラ”なため、あなたも本作鑑賞後はポアロの虜になること間違いなし!

監督としての手腕は勿論、演技力にも定評がある名優ケネスブラナー。
今作では主人公エルキュールポアロを自ら熱演している。
乗客の証言の食い違いを突き、真相を聞き出す巧みな話術、相手に本心を見抜かれないための絶妙な表情など、名役者ブラナーの真骨頂が存分に発揮されている!

あなたも是非、「スターウォーズ」を観る前に、”世界最高の作家”が生んだ”世界一の名探偵”と、”世界一有名な豪華寝台列車”オリエント急行に名優たちで彩られた史上最高のミステリーへの深淵に挑め!!!
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